戦争が廊下の奥に立つてゐた

 戦争が廊下の奥に立つてゐた

 渡辺白泉の俳句です。いや、もう居間のノブに手をかけているのかもしれません。いつ日本が戦争に巻き込まれてもおかしくない緊迫した状況です。今日か、明日か、はたまた一週間後か。
 安倍伍長政権以来、アメリカと共に戦争をする準備を法整備によって整えてきた自公政権。「His master's voice」の一声がかかれば、鉄砲玉のように飛び出していくことでしょう。それでは日本政府はどのようなシナリオを考えているのか。映画『戦雲(いくさふむ)』のプログラムに掲載された、石井堯氏(共同通信社編集委員・立命館大学客員教授)の分析を紹介しましょう。

 では、日本政府は台湾有事がどのようにして日本を巻き込む戦争に至ると想定しているのか。筆者の取材では、次の3段階で考えられている。
 第1段階は、「中国が台湾に武力侵攻し戦闘が始まる」段階。米軍は軍事介入を視野に部隊展開を決断する。日本政府は重要影響事態(注2)と武力攻撃予測事態(注3)を認定。米軍は琉球弧の40以上の島々を臨時の攻撃用軍事拠点化し、自衛隊は米軍の後方支援に当たる。
 政府は武力攻撃予測事態認定で国民保護法に基づき、沖縄県・先島5市町村から住民や観光客ら約12万人を、九州各県と山口県に避難させる計画で、「6日間程度で避難できる」としている。どういう理由か、先島諸島以外の沖縄島や、奄美大島など鹿児島県の島々は避難する対象になっていない。
 第2段階は、「米中間で戦闘が始まった」段階。日本政府はここで存立危機事態(注1)を認定し、集団的自衛権を行使して、自衛隊は中国に対して武力行使する。中国が日本を攻撃していないのに、中国本土のミサイル基地や司令部を「敵基地攻撃」することも可能だ、と日本政府はしている。
 最後の第3段階は「中国軍が在日米軍基地や琉球弧の米軍臨時拠点、自衛隊基地などに攻撃する」最終段階だ。日本政府は日本有事として、武力攻撃事態を認定、個別的自衛権を行使して中国軍と本格的な戦争状態に突入する。いずれの段階でも琉球弧の島々が戦域の中心であることは間違いない。しかし、九州、四国、本州、北海道の米軍や自衛隊の基地などが中国軍の攻撃対象とならない保証はどこにもない。

注1 存立危機事態
 自衛隊による集団的自衛権の行使が可能だと日本政府が判断する事態の呼称。この段階を認定すれば、日本と密接な関係にある国、つまり米国が戦争を始めた時に日本が参戦することが可能になった。

注2 重要影響事態
 そのまま放置すれば、日本への直接の武力行使に至る恐れがあるなど、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態。戦場以外であれば、自衛隊は戦闘中の米軍などに補給や輸送などの後方支援が可能になった。

注3 武力攻撃事態
 関係法は日本有事について「わが国に対する外部からの武力攻撃が発生または明白な危険が切迫した事態=武力攻撃事態」と「事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態=武力攻撃予測事態」に分類している。(p.23)

 恐るべきシナリオですね。問題は、やたらと「〇〇〇〇事態の認定」という言葉が出てきますが、誰が認定するかですね。おそらく、いや間違いなく米軍でしょう。米軍司令官の指揮のもとに、中米戦争の矢面に立たされ、沖縄や日本全土が中国軍の攻撃にさらされるという悪夢の事態も十二分にあり得ます。いやはや、自公政権には、日本国憲法の崇高な理念に一歩でも近づこうとする気は毛頭ないようだし、彼らを政権の座につけている有権者の皆様も同様のようです。

【前文】 …政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し…
【第九条】 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 なおその前提となるのは台湾有事、中国による台湾への武力侵攻ですが、その可能性はどれくらいあるのでしょうか。私は、布施祐仁氏が分析されているように、極めて低いと考えます。アメリカが中国の脅威を大袈裟に言い立てて日本の危機感を煽り、武器を買わせ、米軍の後方支援や(アメリカ主導の)共同作戦参加の言質を取ろうとしているのではないでしょうか。それよりも懸念されるのは、ヒューマン・エラーやメカニック・トラブルなどによる偶発的に勃発する米中の武力衝突です。両国とも目の玉が飛び出るような巨額の軍事費を使っている以上、国民の手前、弱気な姿勢は見せられないでしょう。偶発的な中米の武力衝突→戦闘のエスカレート→アメリカの指示による日本の参戦→沖縄に配備したミサイルによる先制攻撃→中国のミサイルによる沖縄さらには日本全土への報復攻撃→「中国の国際的威信を地に落とせた」とロマネ・コンティを飲みながらほくそ笑むアメリカ。こんなシナリオもありそうですね。戦争はもう居間に入ってきているのかもしれません。

 次の衆議院選挙でどの政党の候補者に投票するか。私は、アメリカの鉄砲玉となって中国と戦争することを断固として拒否する政党の候補者に一票を投じます。

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2024-06-26 06:57 | 鶏肋 | Comments(0)
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