王子ホールにブシュコフ&藤田真央のコンサートを聴きにいった時に、「タレイア・クァルテット」のチラシを目にしました。弦楽四重奏、いいですね、大好きです。誰でしたか、弦楽四重奏は、四人で音楽による会話を楽しみ、聴衆はそのおこぼれをもらうと言っていました。はい、まことに喜ばしきおこぼれです。さて曲目は…モーツァルトのディヴェルティメントK.136! バルトークの弦楽四重奏曲第4番!! ラヴェルの弦楽四重奏曲 へ長調!!! 私の大好きな曲ばかりではあーりませんか。これは絶対に聴きにいきます。 さて、タレイア・クァルテットは山田香子(1st vn)、二村裕美(2nd vn)、渡部咲耶(Viola)、石崎美雨(Cello)1の女性四人がメンバーの弦楽四重奏団で、東京藝術大学在学時に結成されたとのことです。タレイアとはギリシャ神話に登場する女神で、「豊かさ」と「開花」の象徴とされでます。チラシの紹介文を引用します。 続・結成10周年記念特別演奏会「タレイアの夏祭り」 場末の芝居小屋のような、外連味にあふれたチープな謳い文句がいいですね。なお"雨の五反田"とは今年5月に五反田で行われた「10周年記念特別演奏会『愉・舞・祈』」を、"爛熟のボルドー"とはボルドーで開催された弦楽四重奏フェスティバルへの出演、"灼熱の豊洲"とは今日の演奏会のことです。ま、本日は最高気温が36度なのでたしかに"灼熱"です。"追憶と解放"というのは…よくわかりません。 都営地下鉄有楽町線の豊洲駅で降りると、すぐ目の前が会場となる豊洲シビックセンターホールです。受付で料金を支払うと、のど飴や蒟蒻畑や甘酒など協賛企業によるプレゼントをくれました。経緯がよくわからないのでコメントは控えますが、初めての経験です。そしてホールへ、300席の小ぶりなホールですが、驚いたのは舞台の背後と右側面が全面ガラス張りです。左半分が無粋なタワー・マンションしか見えないのが残念ですが、右半分は隅田川と緑の木々を見晴らせます。素敵な演出ですね、ただホールの響きはどうなのだろう? そして華やかなドレスを着た四人が舞台に登場、なおその直前にガラスは戸で覆われて風景は見えなくなっていました。まず一曲目は、モーツァルトの「ディヴェルティメント ニ長調 K.136」。やはりホールのせいか響きがやや硬いのが残念でしたが、演奏自体は快調なテンポに乗った洒脱な歌いまわしを楽しめた魅力的なものでした。やるでねが、いいですねタレイア・クァルテット。 二曲目はバルトークの「弦楽四重奏曲第4番 Sz.91」、六曲ある彼の弦楽四重奏曲の中で私が一番好きな曲です。五つの楽章からなり、激烈なリズムが躍動的な第一・第五楽章、スケルツォのような第二・第四楽章、静謐で濃密な第三楽章と、合わせ鏡のようなアーチ形式で構成されています。激しく弦を指板にぶつけるバルトーク・ピチカートや、弓の棹で弦を叩くコル・レーニョなど前衛的な奏法も効果的に駆使されています。冒頭の一音から、四人の気迫がビシビシと伝わってきました。見事なアンサンブル、劇的なダイナミクスの変化、そして何よりも曲全体を貫く疾走感と緊迫感にひきこまれました。特に第一・第五楽章の全身全霊を込めた気迫あふれる演奏は、まるで四つの焔が舞台上で絡み合い燃え盛るよう。感動しました。最後列に座っていたこともあり、生まれて初めてのスタンディング・オベーション、ブラービ! ここで十五分間の休憩、ホワイエに出て麦茶を飲んで火照った体と心をしずめました。そして後半はラヴェルの「弦楽四重奏曲 へ長調」、パリ・オリンピック開会式でも使われた曲ですね。気がつくと戸が開けられたままで、外の景色が見えた状態での演奏です。これもまた雰囲気が変わっていいものですね。左半分のタワマンはさておき、セーヌ川とブーローニュの森を思い起こさせる演出かな、違うだろうな。 憂愁をふくんだ繊細で典雅な曲調が魅力的な名曲で、四人の演奏はその魅力を十全に引き出して伝えてくれました。 そして万雷の拍手、アンコールはアストル・ピアソラの「鮫」とデンマーク民謡の「Shine you no more」でした。 アンコール後は写真撮影が可能とのことでした。また司会の方が、今年の12月22日に、タレイア・クァルテットによるバルトーク・ツィクルスの演奏会が開かれると伝えてくれました。これは必聴、女房をし…もといっ誘って聴きにいきましょう。 というわけで素晴らしいクァルテットに出会えてこの上もない幸せでした。残念なのは空席が目立ったこと。二/五くらいかな、あまりにももったいない。この拙文がファンを増やす一助になれば大変嬉しく思います。
by sabasaba13
| 2024-11-27 07:19
| 音楽
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自己紹介
東京在住。旅行と本と音楽とテニスと古い学校と灯台と近代化遺産と棚田と鯖と猫と火の見櫓と巨木を愛す。俳号は邪想庵。
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