半田滋氏講演会

 半田滋氏(防衛ジャーナリスト・元東京新聞編集委員・法政大学兼任講師)による講演会が、「ココネリ」で開かれることを知りました。氏の分析や論説は『週刊金曜日』でもよく拝見し、その論理的な鋭さと平和実現に対する熱い思いには常々感服していました。ぜひ直接お話を伺いたいと、講演会に行ってきました。
 タイトルは「トランプ政権下での日米軍事一体化 ~平和は軍事力でなく外交で~」。主催は 練馬革新懇。共催は、東京土建練馬支部、練馬労連、練馬民商工会、新日本婦人の会練馬支部、練馬・文化の会、都教組練馬支部です。

 それでは拙い要約ですが、私の文責でまとめてみます。

戦争四法 米国の戦争に全面協力する道すじ
 ①特定秘密保護法 (安倍政権で制定)
 ②安全保障関連法 (同)
 ③「共謀罪」法 (同)
 ④土地利用規制法 (菅政権で制定)

憲法9条から導き出される2本柱:「海外で武力行使しない」「専守防衛」
▼安全保障関連法により、「密接な関係にある他国」への攻撃を存立危機事態をみなし、海外で武力行使できる。つまり集団的自衛を行使できるようになり、1本目の柱が倒れた。
▼2022年12月、安全保障関連3文書を改定し、「敵基地攻撃能力の保有」を閣議決定。「反撃能力」と言い換えながら「先制攻撃」が可能に。
▼「防衛費は対GDP比2%」と倍増。5年間の防衛費は43兆円。不足する財源は増税などで賄う。
▼「専守防衛」の神髄は自衛隊が攻撃的兵器を持たず、敵国の領域を直接攻撃できる能力を持たない、つまり役割と機能を『盾』に徹すること。他国に脅威を与えることはないとしてきた2本目の柱が倒された。
安倍、岸田両政権によって、日本は自衛に徹する平和国家から、強力な戦力を有する普通の国になった。これは、法や閣議決定による憲法の下剋上である。

安倍、岸田両首相によって覆された『平和国家』
 ①安倍政権により、「密接な関係にある他国」にあたる米国とともに海外で武力行使することが可能に
 ②「盾」の役割・機能に徹する自衛隊は攻撃力が不足し、米軍の足手まといになりかねなかった
 ③岸田政権の「敵基地攻撃能力の保有」により、各種ミサイルなど攻撃的兵器を米政府や防衛産業から大量に買い入れて米軍並みの攻撃力を備え、「米軍の二軍」として米国のお役に立つ国になった

日米一体化とは、自衛隊が米軍の指揮下に入ること
 「指揮統制の連携強化」を実行すれば、自衛隊は情報、攻撃力に勝る米軍の指揮下に入らざるを得ず、「主権国家たる我が国の主体的判断」は失われ、「憲法、国内法令」は無視される。つまり、憲法は空文化し、安全保障政策は米国に乗っ取られ、米軍と自衛隊は完全に一体化するのは自明。

25.3.30 ヘグセス米国防長官の共同記者会見
 米国は、台湾海峡を含むインド太平洋において、強固で即応性があり、信頼性のある抑止力を維持することにコミットしている。
日本は、西太平洋で直面する可能性のあるあらゆる不測の事態の最前線に立ち、私たちは互いに支え合うために団結しています。
 ※台湾有事に際して「最前線」に立つのは日本。つまり自衛隊は米軍にとっての捨て駒である。

まとめ
▼政府の言う「敵基地攻撃能力の保有」は抑止を高めれば安全になるという一方的な主張。軍事力強化は東アジアの不安定化を呼び込む。
▼台湾有事の戦場は、日本と台湾であり、米国や中国ではない。「敵基地攻撃能力」を持ち、対米支援するのは自滅を選ぶのに等しい。
▼平和は軍事力ではなく、命がけの外交によってはじめて実現する。

 アメリカが中国による台湾の武力統一を恐れる理由として、あまり一般的には言及されない二点を挙げておられたのが印象的でした。
 まずこの武力統一によって、中国艦隊が自由に太平洋に進出できるようになること。現状では、中国艦隊が通過できる公海は「宮古海峡」のみである。アメリカが恐れているのは、自由に太平洋を遊弋できるようになった中国軍の潜水艦のSLBMがアメリカ本土を脅かすことである。
 二つ目。武力統一によって、半導体世界シェアの60%以上を占める台湾積体電路製造(TSMC)が中国政府の管理下に入ることである。これは半導体を必要とする米国の産業界にとって死活的な問題である。

 またアメリカ製兵器の爆買いについても、問題があるようです。たとえば、自衛隊が購入を決めた無人偵察機「グローバルホーク・ブロック30」。これは陸・海・空のいずれの自衛隊も要求せず、官僚組織の内局が要求した政治案件です。この機種は旧式で、米空軍は「中国の脅威に対応できない」として退役させたシロモノです。そもそもアフガニスタン用に開発されたもので、海上偵察には不向きなものでした。さらに3機510億円で契約後、米政府は突然629億円に値上げしています。これは23%の値上げで、25%値上げするとキャンセル可能になるので、その寸止めということなのでしょう。こうなると"爆売り詐欺"ですね。

 というわけで、台湾を武力で統一しようとする危険な中国。それを日本と協力しながら阻止しようとする正義のアメリカ。そういう牧歌的なお話ではないことを再確認して肝に銘じましょう。
 アメリカはあくまでも自国の利益のために武力介入するのだし、その犠牲はできるだけ日本に負担させようという考えです。
 そのあたりを見極めて、日本の政治家や官僚のみなさまには、中国との武力衝突を絶対に避けるという日本の最も大事な利益を守っていただきたいものです。
 あと"爆売り詐欺"には安易にひっかからないように。わたしたちの大切な社会保障費や教育費を削り、アメリカ製のばったものに湯水のようにお金を使うなんて正気の沙汰ではありません。

 政治家や官僚のみなさん、平和を実現するための「命がけの外交」をぜひ見せてください。
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by sabasaba13 | 2025-09-29 06:01 | 講演会 | Comments(0)
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