Tansa:そっちじゃなくて、こっち!

 いま、Tansaという報道機関に注目しています。公式サイトから引用します。

 Tansaは、探査報道を専門とする報道機関です。当局発表を右から左に流す「記者クラブ報道」とは違い、暴露しなければ永遠に伏せられる事実を、独自取材で掘り起こし報じます。従来は「調査報道」と呼ばれてきましたが、単なる調査ではなく、膨大な労力と高度な技術が必要なため「探査報道」という言葉を使っています。英語では「捜査」の意味合いがある「investigation」という言葉を用い「investigative report」と言っています。
 暴露するのは、政府や企業、犯罪集団組織などが隠蔽する不正です。テーマは、大きな力に虐げられている人々のために、何を変えたらいいかという視点で選びます。問題の構造に切り込み、犠牲者や被害者の置かれている状況を変え、将来の被害を防ぐことが目的です。着手したら事態が変わるまで報道を続けていきます。
 運営資金は読者からの寄付、財団からの助成金、探査報道ジャーナリスト養成学校事業での収入で賄っています。広告収入を受け取らず、スポンサーからの影響に独立した立場を守ります。社会を変えたいと願う誰もが、個々人の経済事情に関わらず、探査報道にアクセスできるよう購読料も取りません。
 ジャーナリズムのグローバルスタンダードである、世界規模での連携を重視します。探査報道が挑む国家権力や企業は、すでに国境を越えて広く活動しているからです。Tansaは2017年、探査ジャーナリズム組織でつくる国際的アソシエーション「探査ジャーナリズム世界ネットワーク(GIJN)」に日本で初めて加盟し、公式メンバーとなりました。報道機関としては国内で唯一の加盟組織です。2024年11月現在、95カ国から251組織が加盟しています。

 韓国の韓国探査ジャーナリズムセンター「ニュース打破(タパ)」と同様の、権力や資本から独立した報道機関なのですね。頼もしい、ぜひ応援します。そのTansaから送られてくる土曜メールマガジンを楽しみにしています。25.10.4のものを紹介しましょう。

そっちじゃなくて、こっち! (25.10.4 №209) 編集長・渡辺周

 30代後半のAさんは、私に不安そうに聞いてきた。
 「渡辺さん、Bさんを見かけませんでしたか? 姿が見当たらなくて」
 2009年の夏。名古屋市内の公園で、カレーライスの炊き出しが行われていた時のことだ。AさんとBさんは、派遣労働者として自動車工場や警備会社を転々としながら働いていたが、リーマンショックを機に「雇い止め」に。私は職を失った派遣労働者たちの取材をする中で、彼らに出会った。
 彼らは、滋賀県内で警備員として働いていた時の同僚だった。そこは「手配師」に紹介された職場だったが、1日8時間7000円と聞いていた給料が、なぜか5600円。3000円の日もあった。2人で夜逃げして名古屋に来た。
 AさんとBさんは、昼間は職探し。夜はネットカフェやサウナで寝泊まりしていた。いつも一緒で、お互いが心の支えに。カレーの炊き出しの際、Bさんの姿が見えなくなってAさんが不安になったのはそのためだ。Bさんは、炊き出しの列から少し離れたところにいただけだった。あの時のAさんのホッとした表情が忘れられない。
 「トヨタ自動車のお膝元だから仕事があるのではないか」。彼らはそういう期待を持っていた。だが仕事はなかなか、見つからない。面接を受けても、自分よりも若い人から仕事が決まる。事情をよく知らない実家の母親から、Aさんの携帯に電話がかかってきたことがあった。「仕事は大丈夫なん。ご飯はちゃんと食べてるのん」と聞かれた。「何とかやってるで」。そう答えて安心させた。
 トヨタがあるから仕事があるのではないか。Aさんのように考えて名古屋に来た人は、取材をしていると多かった。だが皮肉なことに、派遣労働者たちの受難は、トヨタの奥田碩会長が経団連の会長を務めたことに原因がある。経団連が自民党に、製造業の派遣労働解禁を働きかけたのだ。奥田氏は「企業が強くならなければ、個人の生活も、日本の経済も決して良くはならない」と言った。要は景気が悪くなった時に、派遣労働者を「使い捨て」にできるようにしようということだ。
 2004年、製造業での派遣労働が解禁された。この年の自民党への企業献金額トップは、トヨタで6440万円。トップ10は全てメーカーだった。自民党は、とっくの昔に大企業の御用聞きに成り下がっていた。
 今日投開票の自民党総裁選には、5人が立候補している。ところが、誰も企業団体献金の禁止を言わない。引き続き大企業の御用聞きに徹し、党としての延命を図ろうということだ。「政治は誰のためにあるのか」という議論が欠けたまま、空騒ぎしている姿は醜悪でさえある。
 企業団体献金を禁止し、大企業の意向に反しても非正規雇用を減らす政策は必須だ。給付金のバラマキや減税が実施されたとしても、正社員として働かない限り、生活苦の根本的な解決にはならないからだ。
 恐ろしいのは、生活苦で募る不満が外国人排斥に向かうことだ。日本に来る外国人が増えることと、日本人の生活苦とは何の関係もない。怒りの矛先は、外国人ではなく自民党と大企業の癒着にこそ向けるべきだ。
 「そっちじゃなくて、こっち!」と言いたい。

 絶対に忘れてはいけないことです。なぜ私たちの暮らしが苦しいのか。その原因の一つが非正規雇用の激増です。なぜ非正規雇用が激増したのか、それは大企業が自民党に多額の政治資金を献金して法整備をさせたためです。企業を強くするために、言い換えれば景気が悪くなった時に派遣労働者を「使い捨て」にするためです。
 労働者を使い捨てにし、企業の利益を優先して多額の政治資金を得る。それが自民党政治の本質であり要諦だと思います。総裁選候補者および高市早苗総裁の言を見る限り、これを改める気は自民党には毛頭ないようです。やれやれ。
 もしこうした社会が嫌なら、一刻も早く自民党に退場していただき、労働者を大事にしようとする政党を見極めて政権を任せることです。簡単です。選挙を棄権せず、自民党候補者に投票せず、少しでも労働者を大切にしようとする政党に投票すればすぐにでも実現します。
 渡辺周氏が言われるように、怒りの矛先を外国人に向けるのではなく、自民党とそこに癒着する大企業に向けましょう。

by sabasaba13 | 2025-11-30 06:58 | 鶏肋 | Comments(0)
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