誰のために働いて働いて働いて働いて働くの?

 "戦後最悪の右翼政権"に対する的確な批判をともなった痛烈なコラムを『東京新聞』(25.12.8)で拝見しました。ぜひ紹介します。

<本音のコラム+> 高市首相の「働いて」×5 前川喜平(現代教育行政研究会代表)

 今年の新語・流行語大賞に「古古古米」や「トランプ関税」を差し置いて高市早苗首相の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」が選ばれた。誰がどう選んだのか知らないが「忖度」の腐臭がぷんぷんする。テレビは高市氏の受賞場面をこぞって報じ、高市人気の向上に貢献した。政権発足から約50日。首相にはもちろん働いてもらわなければならないが、問題は彼女が誰のために働いているのかだ。
 第一に、高市首相はアメリカのためによく働いている。アメリカの望み通り防衛費をGDPの2%に押し上げ、アメリカ製兵器を大量に買うことでトランプ大統領から感謝された。わざわざ米軍空母にまで同行してはしゃいで見せたりもした。台湾有事発言ではアメリカを心配させたが、トランプ大統領から電話で釘を刺されたので、しばらくは口を慎むだろう。
 第二に、高市首相は大企業のためによく働いている。円安を放置して輸出企業の増益に貢献し、国債頼みの超大型補正予算で株価を支える。労働時間規制は経営側に都合よく緩和しようとする。武器輸出を解禁して軍事産業を儲けさせようとする。大企業優先の政策の見返りは、もちろん企業・団体献金だ。
 第三に、高市首相は極右勢力のためによく働いている。彼らは彼女を自民党総裁に押し上げた支持母体だ。選択的夫婦別姓や同性婚には絶対反対。女系天皇も絶対阻止。何事も日本人優先だから、外国人学校や定住が見込まれない外国人生徒は高校無償化から排除する。歴史への反省はなく、加害を非難する近隣諸国を敵視する。台湾有事発言は意地でも撤回しない。最終目標は、大日本帝国に回帰する憲法改正と軍事大国化だろう。
 第四に、高市首相は裏金議員のためによく働いている。萩生田光一氏を幹事長代行に任命して完全復活させ、岸田・石破両内閣では起用を見送った裏金議員たちを、選挙で「有権者から認めていただいた」と言って副大臣や政務官に任命した。選挙を経ずに官房副長官に任命した佐藤啓参院議員については「再起の機会を与えてもらいたい」と開き直った。裏金還流の再開を要求したのが下村博文氏だったという新証言が出ても、裏金問題の真相解明には動かない。
 第五に、高市首相は自分自身のためにもよく働いている。高市氏の政治資金団体「新時代政策研究会」には昨年約2億円もの収入があり、そこから8000万円を超える額を自民党総裁選の告示直前から選挙期間中にかけて宣伝事業費として支出していた。高市氏が代表を務める自民党支部が昨年都内の企業から上限を超える1000万円の寄付を受け取っていたことも発覚した。党首討論で企業・団体献金の問題を「そんなことより」と議員定数削減の問題にすり替えたのは、これからも企業・団体献金で稼ぎたいからではないか?
 高市首相は、アメリカのために働いて、大企業のために働いて、極右勢力のために働いて、裏金議員のために働いて、自分自身のために働いているようだ。そんなことなら働いてくれない方がいい。

 山田君、座布団三枚! 高市首相は「働いて」を五回繰り返したので、その奉仕する対象も五つ挙げるという芸の細かさ。お見事です。
 それにしても、彼女が奉仕する対象はいずれも強者ですね。でもそれでいいのでしょうか。碩学、故加藤周一氏の言を紹介します。

  私の民主主義の定義は、実践的な目的のためには、甚だ簡単である。強きを挫き、弱きを援く。

 はい、私もこの意見に強く強く共感します。困窮者、高齢者、女性、病人、障碍者、在日コリアン、在住外国人、そうした社会的弱者のための民主主義的な政治を行なっていただきたい。高市首相に強く要望し、ほんの少し期待します。

 それにしても、"弱きを挫き、強きを援く"高市首相が、高い支持率を誇るのが解せません。日本ってそんなに強者が多いのでしょうか。あるいは強者の側にいると思い込みたい弱者の方々が支持しているのでしょうか。本を読んでいろいろと調べて考えていきたいと思います。

 最後に高市首相への私からの贈り物です。加藤周一氏の珠玉の言葉です。

 国難をきり抜けるには、理想主義が必要である。

 過去をごまかしながら、未来を築くことはできない。

 勇気あふれる馬鹿ほど近所迷惑な者はない。

 いかなる社会にとっても、忘れることで過去は消えないし、過去とつながらない未来は幻にすぎない。

by sabasaba13 | 2025-12-10 07:12 | 鶏肋 | Comments(0)
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