言葉の花綵320

 彼れを知りて己れを知れば、百戦して殆うからず。彼れを知らずして己れを知れば、一勝一負す。彼れを知らず己れを知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。(孫子)

 量子力学の成果はたしかに刮目に価します。ただ、私の内なる声に従えば、やはりどうしても本物ではありません。量子論のもたらすところは大なのですが、われわれを神の秘密に一歩とて近づけてくれないのです。いずれにしろ、神はサイコロばくちをしない、と確信しています。(アルバート・アインシュタイン)

 されば今ここで諸君の決心を要求する。身に害を蒙るまえに屈服するか、それとも、私がよしと判断するように、戦うか、そして若し戦うとすれば、原因の軽重いかんにかかわらず妥協を排し、汲々たる現状維持を忌否する態度を決して貰いたい。なぜならば、対等たるべき間柄の一国が他の国に、法的根拠もない要求を強いれば、事の大小にかかわらず、これは相手に隷属を強いることにひとしい。(『戦史』 トゥキュデイデス)

 行動をほこる君たちフランス人よ! このことはよくおぼえておきたまえ。君たちは知らぬまに、思想家の助手になっているのだ。思想家はごくつつましやかに静まっていながら、君たちのすべての行動をきわめてはっきりと、まえもってきめてしまうことがある。マキシミリアン・ロベスピエールはジャン・ジャック・ルソーの助手にすぎなかった。ルソーがたましいをあたえておいた胎児を、時代の母体からひっぱりだした血まみれの助産婦だった。(ハインリヒ・ハイネ)

 しかし、ぼくはカテドラルよりは人びとの眼を描きたい。カテドラルがいかに荘厳で、圧倒するような印象を与えようと、そこにはない何かが人間の眼にはあるからだ。一人の人間-それが哀れなルンペンであろうと、夜の女であろうと-の魂はぼくの眼にはもっと興味深いものなのだ。(フィンセント・ファン・ゴッホ)

 天才とは努力し得る才だ、というゲエテの有名な言葉は、殆ど理解されていない。努力は凡才でもするからである。然かし、努力を要せず成功する場合には努力はしまい。彼には、いつもそうあって欲しいのである。天才は寧ろ努力を発明する。凡才が容易と見る処に、何故、天才は難問を見るという事が屡々起るのか。詮ずるところ、強い精神は、容易な事を嫌うからだという事になろう。(小林秀雄)

 もし一人の人間を殺せば、それは人殺しになる。だが数百万の人間を殺せば、英雄としてほめたたえられる。女や子供たちを虐殺する爆弾を発明したやつは祝福される。この世界で成功するためには、組織的にやりさえすればいいのだ…。(『チャップリンの殺人狂時代』 チャールズ・チャップリン)

 私は、自分が日本という国から受けた被害が、天皇の名の下に行なわれた悲惨で残酷な戦争のために死んでいった多くの日本人よりも比較的に少ないことを、無条件に手放しで喜びながら生きていくことができないような気がしました。(奥崎謙三)

by sabasaba13 | 2026-04-08 06:24 | 言葉の花綵 | Comments(0)
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