そして歩くこと数分で、絵画館に到着。あのドームを頂いた不気味・無骨な建物です。ドイツ表現主義の影響なのかな。ここには明治天皇の事跡を中村不折や五姓田芳柳らに描かせた絵を展示してあります。ここも初見。岩倉使節団出発のシーンや、日清戦争における大山巌などの絵はよく歴史書で見かけますが、ここにあったんだ。それにしても、明治天皇の顔がことごとくキヨソーネが修正したものをモデルにしていますね。時代の制約とは言っても画家にとっては忸怩たるものがあったのではないかな。参考までにキヨソーネが描いた肖像と、明治天皇の写真です。絵画館向かって左手には、樺太国境画定標石のレプリカがありました。日露戦争後のポーツマス条約で北緯50度以南の樺太を獲得した際に、現地に敷設されたものです。片面には菊の紋章、片面にはロマノフ王朝の鷲の紋章が刻まれているのですが、立入禁止のため後者は見られません。複製なんだから近くに寄ってもいいじゃないかあ、吝嗇。
わが愛すべきスワローズのホーム・グラウンド神宮球場の脇を通り、イチョウ並木へ到着。四列に並んだイチョウがそれはそれは見事に黄色に輝いていました。著名な場所だけにけっこう人も多く、皆さんの幸せそうな微笑みが印象的でした。ある年配の女性が「ヨーロッパみたい!」と言っておられましたが、「第三の男」ラスト・シーンで使われたウィーン公営墓地の並木道に似ていないこともなくはないような気がしないでもありませんね。
本日の二枚。外苑イチョウ並木と、ウィーン公営墓地の並木道です。