小幡・白井・桐生編(7):桐生(06.2)

 そして蔵をイベント・スペースとして利用している有鄰館に入り、珈琲を飲みながらこれからの作戦を練っていると、お店の方が桐生に詳しい係員を紹介してくれました。渡りに船、さっそくお話をうかがうと、いやあ詳しいこと詳しいこと。棟方志功が壁画を描いた洋食屋や、クラシック・カメラのコレクション、日本一の急坂、坂口安吾がらみの物件など、しこたま情報をいただきました。安吾は1952(昭和27)年に桐生に移住し、1955(昭和30)年にこの街で脳出血により急逝しているので、彼にちなんだ物件がたくさんあります。それを網羅した、安吾没後50周年実行委員会作成の、貴重かつ抱腹ものの案内地図をいただきました。これほど可笑しく切ない観光地図は空前絶後ではないかな。伊東競輪での着順に不服をもち判定写真の鑑定を依頼した群馬大学工学部、よく家のガラスを割った安吾ご用達のガラス店、薬をよく買った薬局(まさかヒロポンではないよね)、愛犬ラモーの種を採られたと勘違いをして殴り込みをかけたペット店、酒に酔って大暴れしたカフェー・パリス跡、その後留置された桐生警察署跡… 無頼派、安吾の面目躍如ですね。彼が気に入った街ですから、面白くないわけがありません。ようがす、ひととおり訪ねてみましょう。
 係員の方のお話は奔流のようにとどまらず、寄居にさざえ堂(内部に螺旋梯子を設置)がある、館林には歌舞伎座のような置屋(芸者などを抱えていて、揚げ屋の注文に応じ、女をさしむける業)が残っている、はては目黒の五百羅漢寺は素晴らしい… 嗚呼、私と同じ趣味だ。人があまり注目しない古くて珍しくものが大好きなんだ、この人も。きりがないので、お礼を言って立ち去りましたが、別れ際に「練馬に面白いものがあったら知らせてください」と言われました。合点承知之介。奥に行くと、大きな楠がそびえ、その隣に「桐生からくり芝居」の展示館がありました。からくり人形を使った、全国でも珍しい人形劇だそうです。他には大分にしかないそうですが、残念ながら年に数回しか上演しないとのこと。いつか見てみたいな。
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 これが噂の「安吾の散歩みち」です。
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by sabasaba13 | 2006-04-27 06:07 | 関東 | Comments(0)
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