メッセージ・ソング

 忌野清志郎といえば、1999年、ロック調にアレンジした「君が代」の収録にポリドールが難色を示し発売中止にされたという出来事もありました。「冬の十字架」に収録されており聴くことができますが、別に歌詞を改変したわけではなくただ「君が代」をロック風に唄っただけの曲です。天皇制や国家に関するタブーが、厳然としてこの国には存在するという事実を思い知らされます。それにしても、権威としてすがるものが天皇制と国家権力にしかないと考える人が大変多いのでしょうね。本当に*が小さいなあ。
 これとくらべたいのが、レオン・ラッセルが唄った「戦争の親玉(MASTERS OF WAR)」という曲です。(アルバム「レオン・ラッセル」より 余談ですがこの中に収められている「ア・ソング・フォー・ユー」も身悶えするような叙情あふれた名曲です) もともとはボブ・ディランが作った曲で、アルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」に収められています。ベトナム戦争の時代に、アメリカ政府と財界を強烈に痛罵した曲で、そのメッセージは今でも、いや今だからこそ有効だと思います。一部を抄録します。
おい、戦争の親玉
すべての大砲をつくるあんたがた
死の飛行機をつくるあんたがた
大きな爆弾をつくるあんたがた
壁のうしろにかくれるあんたがた
デスクのうしろにかくれるあんたがた
あんたがたにいっておきたい
あんたがたの正体はまる見えだよ…

あんたは最悪の恐怖をふりまいた
この世に子どもを生むことの恐怖
まだ生れず まだ名前のない
おれの赤ん坊をおびやかしている
あんたはあんたの血管のなかの
血にもあたいしない…

ひとつききたいことがある
あんたのお金はそんなにいいのか?
それがあればゆるしてもらえるとでも
あんたはおもっているのか
やがてわかるだろうよ
あんたの死が精算するとき
あんたのもうけた金ぜんぶつんでも
あんたの魂を買いもどせっこない…
 凄い。正義や公正を求める滾るような思いを、生ギター・ハーモニカにのせて叩きつけるように唄うディラン。利権のために戦争を起こし、軍需で潤おう企業人、その後ろ盾となっている政治家・官僚たちに向かい、今だからこそみんなで腕を組んで唄いたい曲です。
 それはさておき、この歌詞をアメリカ国歌「The Star-Spangled Banner」にのせて、爆弾の破裂音を口真似しながら力強く唄っているのがレオン・ラッセルの前掲曲です。戦争の親玉はあんた、アメリカ政府だという痛烈なメッセージですね。この曲が発売・放送禁止になったという話は聞いていません。(なったのかな?) こうした批判的営みを許容できるのが、そして権威を脅かす行為をタブー視しないのがアメリカ合州国の良き文化だと思います。現在では少し危ういでしょうが。
 というわけで清志郎氏、ぜひロック調「君が代」にのせて「サマータイム・ブルース」を唄ってもらえませんか。

 骨のあるメッセージ・ソングを時々無性に聴きたくなります。子どもたちを、壁を作るための煉瓦にしようとする教育を批判するピンク・フロイドの「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」。“We don't need no education”と叫ぶ子どもたちの大合唱には肌に粟が生じます。山下達郎の「ウォー・ソング」も戦争を批判し世界の名も知らぬ人々との連帯を求める佳曲です。そして岡林信康。差別問題を唄う「手紙」や貧困について唄う「チューリップのアップリケ」が心に残っています。私、カラオケは大嫌いなのですが、どうしてもと強要された時には、後者をア・カペラで唄うことにしています。これで二度と唄わなくてすみますね。

 追記。何回かこのブログで紹介しているホームレス支援のための雑誌「ビッグ・イシュー」51号を本日購入しました。御茶ノ水駅脇の橋でいつも“お茶ノ水博士”という方から買っていたのですが、最近彼の姿が見えず、違う販売員に変わっています。体調を崩したのか、病気か、はたまた…と気にかけていたのですが、その所在がわかりました。51号のコラム「路上から」によると、お茶ノ水博士ことOさんは、S区役所に就職されたそうです。よかったあ、おめでとうございます。墨田区か杉並区か渋谷区か品川区の英断には敬意を表します。血税を湯水のように使って巨大な区役所を建てた練馬区政関係者諸氏、ぜひ見習ってください。
by sabasaba13 | 2006-06-06 06:13 | 音楽 | Comments(0)
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