ロータリーのコーナーにそって屹立している、見事な赤煉瓦建築が旧総督府専売局です。設計は森山松之助、中央のドームと塔が眼をひきつける重厚にして華麗な物件です。総督府はアヘン、樟脳、煙草、酒などを専売にして大きな財源としていましたが、その専売制度を管轄していた事務所です。一種の高額消費税と考えてよいと思いますが、収奪される台湾の人々にしてみれば心地よいものではなかったでしょうね。怨嗟の的にもなりえたこの建物を破壊せずに保存した経緯についてはよくわかりませんが、感謝したいと思います。なお政府か軍が現役で使用しているらしく、至近距離で撮影をしていたら警備員が(たぶん)撮影禁止だという素振りで近づいてきたので、早々に退散。すぐ近くに厳重な鉄条網つきバリケードが幾重にも重ねて置かれていたのが印象的でした。
ここから司法院、旧総督府へ向かってしばらく歩きます。
平日ということで通勤ラッシュの真っ最中ですが、バイクの多さには驚きます。信号手前のバイク用スペースで数十台が位置につき、青信号になると同時にダッシュする様子は、サーキットのようですね。当然、爆音と排気ガスも凄いものです。
どの通りにもアーケードが設置されており、ほんとうに雨が多いところなのだなあと実感。おーっと、警察官が今まさに違法駐車の車をレッカー移動しようとしている現場を目撃しました。すると持ち主の男性が、大声を出しながら駆け寄ってくるではありませんか。見逃すのか、無視するのか、袖の下を渡されるのか、最後まで見極めるべきだったのでしょうが、時間の都合上その場を立ち去りました。今にして思えば、警察権力と市民との関係を知るよい機会だったのですね、不覚。
そして次なる物件は、旧台北公会堂(現中山堂)です。1936年に竣工、当時台湾最大の公共建築だったようです。1945年10月25日に、台湾地区降伏式がここで行われ、この日をもって日本は台湾を放棄しその管理が国民党政府に委ねられたわけです。歴史の証言者ですね。これといった特徴はありませんが、堂々とした風格を感じます。
本日の一枚は、旧総督府専売局です。