「戦争ニュース」

 「戦争ニュース 裏の読み方 表の読み方」(保岡裕之 講談社+α新書)読了。これはタイトルで損をしていますね。「スクープ! これが誰も知らないイラク戦争の真相だ!」などという根拠薄弱な暴露的内容の本ではありませぬ。現在の世界のマス・メディアの動きを、来日しているジャーナリストからの聞き取りをまじえながら紹介するとともに、彼らから見た日本のマス・メディアの問題点をも抉り出す中身の濃い一冊です。世界各国のマス・メディアの様子については、ついつい紋切型のイメージしか浮かばないのですが、当然のことですが様々なあり様で勉強になりました。例えばパレスチナ紛争に関する報道を除き(もちろんこれはこれで問題ですが)、かなり自由で民主的な報道をしているイスラエルのメディア。「国境なき記者団」が行った「2004年度・報道の自由度ランキング」では36位と評価されています。ちなみに日本は42位、えっ、そんなに高い評価を受けているのとびっくらこいてしまいますね。(アメリカは22位) 新聞など既存のメディアが機能しているヨーロッパに対して、大資本が支配する既存の大メディアへの不信感から、新しい動きが台頭している韓国。国民株というユニークな方法で資金を募る新聞「ハンギョレ」、そして市民記者が記事を投稿するインターネット新聞「オーマイニュース」。盧武鉉政権を誕生させたのは、後者だと言われているそうです。日本でも市民参加型ネット新聞「JanJan」がありますが、状況を動かせるほどの力はまだありません。
 いずれにしても人々が知るべきニュースを伝えるのがジャーナリストの責務であると思います。そういう意味でまだまだ信頼しうるジャーナリズムが世界各地にたくさんあるというのは心強い事実です。それにくらべ、それにくらべ、ああそれにくらべ日本のマス・メディアは… 「ご臨終メディア」の書評でも述べましたが、高い利潤と収入を守るために、視聴率や購買数を最優先し(人々が求めているとメディアが判断した内容を優先…)、面倒を回避し(政治家を追及しない、抗議を恐れる…)、その結果として国民の知る権利を代行するという重要な責任を放棄し、保身に走る日本のメディア。実は在日海外特派員の長老、ヒールシャー氏もこう言っています。
 日本ではジャーナリストになるのではなく、大手メディアの社員になるのが普通です。…どの新聞社も同じで、ジャーナリストとして新聞社に入るのではなく、「印刷物をつくる会社」に就職するのです。職業意識がまったくない。だからジャーナリスト個人の意見よりも、記者クラブや会社の方針に簡単に管理されてしまうのです。
 「社説」なんて冗談じゃない、という指摘にはまいりました。会社の意見ではなく、個々の記者や編集長が個々の責任で報道をすべきだということですね。これは迂闊にも気づきませんでした、「社説」があるのは日本の新聞だけなのかもしれません。

 参考までにオーマイニュースとJanJanのURLを紹介します。前者が日本語版を、後者がハングル版をつくって、日韓の市民が意見を交換しあうようになれば、きっと良い方向に事態は動かせると思います。

●オーマイニュース http:english.ohmynews.com/
●JanJan http://www.janjan.jp/index.php
by sabasaba13 | 2006-07-09 07:51 | | Comments(0)
<< 「これがビートルズだ」 常陸編(7):常陸太田(06.4) >>