東北夏祭り編(7):弘前ねぷた(06.8)

 さて50分ほどで弘前に到着です。荷物を預けるコインロッカーが空いているか心配だったのですが杞憂でした。がらがら。駅付近も混雑しておらず、弘前ねぷたの知名度はそれほど高くないようです。飲食店に入る余裕がないのでサンドイッチとおにぎりを売店で買い、タクシーに乗って有料観覧席のある桜大通りへかけつけました。運行開始十数分前に到着、さっそく係員の方にチケットを見せ席に案内してもらいました。とはいっても、歩道にパイプ椅子を並べてあるだけですが。幸運なことに本部わきの最前列、これは楽しめそうです。さらにお土産として、パンフレット、りんごジュース、竹製うちわをセットでいただきました。そして開会式らしきものがはじまり、商工会議所長が挨拶をしました。耳を疑ったのですが、たしかに「美人がたくさんいる弘前の飲食店街で飲み食いをして、お金をいっぱい落としていってほしい」という趣旨のきわどい発言をされました。でもこうした発言を許容する大らかさを見習うべきなのかもしれません。
 さて「ねぷた(ねぶた)」とは何か? 通説では農作業の忙しい夏季に襲ってくる睡魔という、目には見えない魔物を追い払うための行事に端を発する祭りのようです。なお民俗学者の宮本常一氏は、その睡魔の原因は蚤に刺されて寝不足となった結果であろうと推測されています。(「イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む」) 弘前ねぷたの特徴は、扇形をしているということです。(人形型をした組ねぷたも少しありますが) 掛け声は「やーやどー」。
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 さあはじまりはじまり。前面は三国志や水滸伝に登場する英雄を描いた鏡絵、背面は美人を描いた見送りのある扇ねぷたが、町の人々に引かれながら荘重に動き始めます。奇抜なデザインではありませんが、ほとんど原色を使わずに描かれた古風な絵柄が、内部の電球の光(注:発電機が積まれています)で暖かく夜の闇に浮かび上がる光景はまっこと幻想的。その後に続くお囃子や太鼓も、ゆったりとしたテンポの重厚なものです。その分、太鼓をしっかり叩くことができるようで、リストをきかせた基本に忠実な打ち方もあいまって、恍惚となるような重低音が街中に響き渡ります。これは未知の体験、太鼓の音にこれほど人を感動させる力があったのか。そしてこれは後日見た青森ねぶた・五所川原立佞武多と比較して今気づいたのですが、マイク・アンプ・スピーカー・集音器を一切使用していません。おそらく、参加する囃子方の多さ、基本的な奏法の習得などによって、その必要がないのでしょう。やはり音楽は生の音でなくちゃ。そしてみなさんは、派手な踊りもせず、時々「やーやどー」と掛け声をかけながらにこやかに楽しげに、ゆったりとした荘重な囃子のリズムに合わせてねぷたと一緒に歩いていきます。一箇所に終結して、順番に通りを練り歩くというやり方もいいですね。遅滞なく進行し、流れがとぎれることがありません。

 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2006-09-01 06:09 | 東北 | Comments(0)
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