東北夏祭り編(9):弘前(06.8)

 起床して朝風呂にのんびりとつかり、一階の大広間で朝食です。野菜中心の質朴な美味しい朝ごはんでした。さて一服しながら部屋を見渡すと、これがなかなか凝ったつくりです。見事な床柱、欄間の手彫り彫刻、きちっと面取りをした角材。山ノ神言うには、女風呂も曲線とタイルによるモダンな意匠だそうです。女将に由緒を尋ねると、弘前にあった遊郭を移築したとのこと、納得です。これで座敷童子にお目にかかれたら、評価はA´ですね。
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 箸袋には「シー・ハイル」という歌の歌詞が印刷されていました。今、調べてわかったのですが、「スキー万歳」というドイツ語で、スキーヤーの挨拶なのですね。あまりに味わい深い歌詞なので、紹介します。
1.岩木のおろしが 吹くなら吹けよ 山から山へと われらは走る
  昨日は梵珠嶺 今日また阿闍羅 煙立てつつ おー、シー・ハイル
2.ステップターンすりゃ 戯れかかる 杉の梢の 未練の雪よ
  心は残れど エールにとどめ 屈身滑降で おー、シー・ハイル
 ここいらはかつてスキーのメッカだったのか。さて一休みした後、大鰐温泉駅まで歩き、弘前行き普通列車に乗り込むことにしましょう。途中で山ノ神が青いビニールシートに包まれた大きな格納庫のようなものに目をつけ、つかつかと近づき隙間から覗きました。手招きされたので見てみると、そこには扇ねぷたが格納されていました。ここから弘前まで運ぶのでしょうか。それにしても山ノ神の眼力ますます冴えわたります。近々、「散歩の神様」というブログが登場するやもしれませぬ。駅前にある、横にしかピースサインを出せない可哀相なワニの巨像に挨拶をして、列車を待っていると、駅構内に地名の由来書がありました。ここいらは古くは「おおあに」と呼ばれていたそうで、アイヌ語のアネ(森林のある谷間)からつけられたそうです。なるほど。
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 やってきた列車に乗り込み、私にとっては二度目の弘前見物です。駅にある観光案内所で無料の貸自転車を借りて出発。地下駐輪場から地上に上る階段わきには、動くベルトが設置されておりそこに自転車を乗せて支えていると、楽々と上まで運んでくれます。サイクリストを大事にしてくれる町は大好き、昨晩のねぷたといい弘前が気に入りましたね、うん。まずは日本キリスト教団弘前教会に寄ってその堂々とした佇まいを眺めていると、掃除をしていた方が中にどうぞと案内をしてくれました。内部を見学させてもらい、次は弘前城へと向かいます。江戸後期の1810(文化7)年につくられた天守閣に上り、下界を睥睨。そして城のすぐ隣にある旧弘前市立図書館と旧東奥義塾外人教師館を見学。前者は戦前の図書館建築として一級品ではないかな、素晴らしい洋館です。婦人閲覧室があるのには驚き。男女七歳にして席を同じうせずということですね。ここから城の堀をぐるりとまわって仲町伝統的建造物保存地区へと向かいましょう。堀に柵がないのは一つの見識ですね、「美観が大事、危ないと思ったら近づくな」ということでしょう。「弘前アイス組合」と書かれ卍印のついたアイスクリーム屋の屋台が気になりましたが、先を急ぎましょう。落ち着いた雰囲気の街並みを快調に走りぬけ、駅に戻りました。そして自転車を返却し、青森行き列車に乗り込みます。
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 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2006-09-03 07:47 | 東北 | Comments(4)
Commented by さくぽん at 2006-09-03 22:26 x
はじめまして。いつも、興味深く拝見させていただいております。
特に旅行記は楽しみにしています!
私は生まれも育ちも弘前です。
ご近所の六ヶ所の話題も気になりますし。私も寺山修司記念館への道すがら眼にした、小川原湖畔の「金網の向こうの」ビーチの美しさは忘れられません。

今回は、アイスの話題についしゃしゃりでてきました。
このアイス屋台ですが、「ちりんちりんアイス」と地元では呼んでいます。
私の子どもの頃(20年くらい前)は、夏、この屋台を白い日よけの布をかぶったおば(あ)さんが、「チリン・チリン」と鈴をならしながら引いてくたのです。
最近は屋台を引いている方は見かけませんが、桜祭りのときは今でも買って食べますよ。
このアイスは弘前にしかなく、黄色がかっていますが、りんごでも、パイナップルでもない味です。独特のふんわりした砂糖の味がします。
弘前にまたいらっしゃる機会がありましたら、ぜひ試してみてください。
弘前市民としては、絶対になくなってほしくない地元の味の一つですから。
Commented by sabasaba13 at 2006-09-04 22:15
 こんばんは。小川原湖畔の美しい浜辺が鉄条網で囲まれて米軍に供せられているあの衝撃的な光景は忘れられません。自民党議員と官僚が、一般市民の利益(国益)を屁とも思っていないことがよくわかります。「新日本百景」にノミネートしたいと思います。

 弘前のアイスについて貴重な情報をありがとうございました。今、地団駄を踏んでいるところです。じだんだじだんだ。何故食べなかったのだろう、己の未熟さを恥じています。でもまた弘前に行く理由ができたと思い、自分を慰めています。それにしても「弘前アイス組合」という組織と卍印は気になります。もしかしたら、女性の職場を確保するための共同体規制なのかな。卍印について何かご存知でしたらご教示ください。
 お世辞でも社交辞令でもなく、弘前にはまたぜひ行きたいと思います。ねぷたにも感動しました。屹立する岩木山をクリアに見たいし、何よりもちりんちりんアイスを食べてみたい! 弘前のことについて、またいろいろと教えてください。それでは。
Commented by さくぽん at 2006-09-05 00:34 x
卍は、弘前市の市章です。
津軽弘前藩の紋のひとつが卍で、市章に制定されたようです。名古屋城に行ったおり、築城時に大名に割り当てられたという石垣の中に卍が刻まれてまして、「津軽の人が運んできたのかな~」なんて考えたことがあります。
津軽家の正式な家紋は牡丹で、ねぷたの台座部分にはかならず牡丹の花が描かれています。

弘前のアイスは、別名「ばばヘラ」とも言うようなんです。
おばあさん(ばば)が、ヘラを使ってコーンに盛り付けてくれるからなのですが、秋田市にも「ばばヘラアイス」があるそうで、これも「秋田市だけ!」と謳われています。味も似ているのか、それとも別物なのかが気になります。
弘前のアイスは「アイス組合の方々の素朴な(少々あやしい)手作りだ」と噂に聞いていますが、所在地や材料がなにかはまったくわかりません(^^;)

そうそう「外堀に柵がある・ない」という点は考えたことがありませんでした。
今までお堀に柵がないのは問題だ、という話は聞いたことがありません。
もしあったら嫌ですね。
堀の水面に映る桜の花を柵の影にさえぎられたくはないものです。

Commented by sabasaba13 at 2006-09-05 21:27
 こんばんは。さっそくのご教示をありがとうございました。なるほど弘前市の市章だったのですか。だとすると行政当局が女性の雇用機会確保に一役買っているのかもしれませんね。絶対に「規制緩和」はしないでほしいと思います。牡丹についてはタクシーの運転手さんに教えてもらいました。面白いのは、弘前ねぷたはしっかりと描かれ、青森ねぶたではやや崩れ、五所川原立佞武多ではあまり描かれていなかったように記憶しています。これも地域性なのでしょうか。

 「ばばへら」というのも初耳です。幼少の頃、近くのせんべい屋さんで売っている海苔せんべいは、店のおばあちゃんが海苔をなめて貼りつけているという噂がとびかっていたのを思い出しました。かつて老女は畏怖すべき存在だったのかもしれません。

 堀の柵がないのは、やはり弘前市民の美意識と連帯感の為せる技だと思います。ぜひとも学びたいところです。オリンピックが開催されたら、東京はさらに醜い街にされてしまうのではないかと怖れる今日この頃です。
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