「王になろうとした男」

 「王になろうとした男」(ジョン・ヒューストン 清流出版)読了。「黄金」「マルタの鷹」「アフリカの女王」をつくった名監督の自叙伝です。いやあああ、面白い面白い。映画と酒と友人と悪ふざけが大好きで、理に合わなければ節を曲げずに毅然と立ち向かう不撓不屈の男、その波瀾万丈の人生に魅せられてしまいました。映画の製作現場の裏話や、ロバート・キャパ、フランク・ロイド・ライト、ディエゴ・リベラ、レイ・ブラッドベリ、オルダス・ハックスレーといった諸氏との交友関係、「赤狩り」時代のハリウッドの状況、父ウォルター・ヒューストンの思い出などなど、興味深く魅力的なエピソード満載です。その語り口も、真摯にしてユーモラス、ナイト・キャップとして愛読していたのですが寝不足になってしまうこともしばしばありました。人生を楽しみつくそうという、彼の姿勢には頭が下がります。
 ひとつのことだけに専念して人生を送るというのは自分には考えられない。私の人生のある期間、ボクシング、執筆、絵画、馬術は、映画の監督とまったく同等の重みをもっていた。
 痛快な悪ふざけを一つ紹介しましょう。世界中からゴルフ好きの有名人が集まったコンペをからかってやろうと、小型飛行機をレンタルして上空からプレー中のフェアウェイめがけて二千個のピンポン玉をばらまいたそうな。あっははははは… 冗談や悪ふざけにも手を抜かない、彼の人となりがよくわかります。ほんとうにみんなを、そして自分を徹底的に楽しませようとした方だったのですね。よって彼の映画哲学はこうです。
 映画をつくる理由は簡単で、語って面白い物語だと思うからである。
 最近ようやくDVDプレーヤーを購入し、手持ちの映画コレクション(ビデオ)をせっせせっせとダビングしているのでが、彼の映画も何本かありました。また見返したくなりました。
 最後に述べられている読者に対するアドバイスの一節です。これはぜひ座右の銘にさせていただきます。「控える」というのがいいですね。
 肺炎になったらタバコは控える。

by sabasaba13 | 2006-09-04 06:15 | | Comments(0)
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