「痛快!憲法学」

 安倍伍長による新政権が誕生しました。憲法改悪/改正、あるいは新憲法制定に向けて拍車がかかりそうです。大きな歴史の曲がり角だと思いますが、そもそも憲法とはどういう決まりなのかについて本気で考えるのも悪くないと思います。そこでお薦めしたいのが「痛快!憲法学」(小室直樹 集英社インターナショナル)。憲法に関する蒙を啓いてくれた、私にとって忘れられない一冊です。人の考え方や生き方をより良い方向へ変えてくれる本が良書だとおもいますが、本書はまさしくそれに当たります。憲法の由来や歴史、機能などを、わかりやすくかみくだいた文章で説いてくれており、法律の素人でもすらすら読み通すことができます。そして何よりも脳のひだひだにじんわりと沁みこむような秀逸かつ卓抜な比喩には脱帽。例えば次の一文はこれからも憲法に関する私の思考の指針であり続けるにちがいありません。
 一人の犯罪者ができる悪事より、国家が行なう悪事のほうがずっとスケールが大きいのです。…憲法とは国民に向けて書かれたものではない。誰のために書かれたものかといえば、国家権力すべてを縛るために書かれたものです。司法、行政、立法…これらの権力に対する命令が、憲法には書かれている。国家権力というのは、恐ろしい力を持っている。警察だって軍隊だって動かすことができる。そんな怪物のようなものを縛るための、最強の鎖が憲法というわけです。
 憲法とは怪物を縛る鎖である、見事な比喩ですね。国家が犯した悪事を認めようとしない、あるいは国家が犯さんとする悪事に無頓着な風潮が強まる中で、こうした認識を日々新たにすることは重要だと思います。
 安倍伍長が提出する憲法案はまちがいなく、怪物を縛る鎖を緩めるものであり、またその怪物に奉仕するようわれわれに強要するものでしょう。そのさいにどれくらい多くの人が、「鎖を緩めてはいけない」と考えて立ち向かえるかが勝負の分かれ目ですね。みんなであらんかぎりの大声を出して叫びませんか。われわれは怪物の下僕ではない!
by sabasaba13 | 2006-10-07 09:16 | | Comments(0)
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