「廃墟の歩き方 探索編」

 「廃墟の歩き方 探索編」(栗原亨監修 イースト・プレス)読了。これまでいろいろなところをほっつき歩いてきましたが、時々廃墟とでっくわします。尾去沢鉱山の精錬所群、石廊崎の「ジャングル・パーク」、三池炭鉱関連の物件、沖縄中城城の近くにあったホテル、かつて日本軍が毒ガスを製造していた大久野島の軍事施設廃墟群別子銅山、福岡の志免鉱業所竪坑櫓などなど。大久野島の軍事施設廃墟群と志免竪坑櫓は間近で拝見し、そして前者は内部に侵入し、その機能に徹した造形美と、歴史の重み、風化し朽ちつつある独特の味わいに圧倒されました。風の噂によると、廃墟・廃線を探索する方が増えているとのこと。気持ちはよく分かります。廃墟と廃線と中世の山城の探訪に没入したら、社会復帰できなくなりそうで、二の足を踏んでいました。しかしその入口だけでも覗いてみたくて、(おそらく)廃墟探索の魁である著者の入門書を読んでみました。
 一読、まず感じたのは著者は本気で真摯に廃墟探索に取り組んでいるということ。中途半端、生半可ではないですね。「探索時の危機管理」「探索のテクニック」という章立てからもわかります。野犬、スズメバチ、脆くなった床、錆びた階段、浮遊するアスベストやホルムアルデヒドといった危険が満ち満ちていることを認識し、何を装備してどう対応するのか、詳細な解説を述べられています。ドア・ストッパーの必要性には気づかなんだ… そして何よりも建造物侵入あるいは住居不法侵入に問われる可能性がある、つまり犯罪すれすれの行為なのですね。以上の諸点を謙虚に受け止め、そして危険や困難や誤解を一つ一つクリアしてたどりつくと、別世界のような見事な廃墟に出会えることも時々あるということです。しかしその充実感や到達感はえもいわれぬものなのでしょうね。
 結論。私には無理。そうした勇気もガッツも体力もありません。ただ容易に入れてある程度安全で、かつ素晴らしい廃墟もあるので、それに特化して訪れたいと思います。そうした評価つきのガイドは有益でした。つばをつけた物件がいくつかあります。かつての軍需工場であった伊万里造船所、結核患者の隔離病棟であった蛤診療所、豊後森ターンテーブルについては是非訪れてみたいですね。いずれも九州北部なので、身中の虫が疼きます。そして見果てぬ夢としては、ぬぅうわんといっても軍艦島上陸!
by sabasaba13 | 2006-10-08 20:01 | | Comments(0)
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