テニアン・サイパン編(19):南部戦跡ツァー(06.8)

 そして、かつて南洋興発が敷設したサトウキビ運搬用鉄道の跡につくられた道を走り、「禁断の島」という景勝地を眺められる展望台へと向かいます。その途中に、日本軍が弾薬庫として掘り利用した日本トンネルがあります。Maxさんが照らすランプの灯りをたよりに、おそるおそる漆黒の闇の中に入っていくと、内部はけっこう広い空間となっています。ハングルで何か書いてある十字架が二つあったので訊ねてみたところ、朝鮮人従軍慰安婦を追悼したものだということでした。しかし氏は、ここではそうした行為、あるいは慰安婦の殺害といった事はなされていない、他の場所であると教えてくれました。なお後日、ハングルに堪能な知人に尋ねたところ、右には「悲しい英霊たちが眠りについているところ、左には「インチョン教会」書いてあるそうです。朝鮮人軍属を悼んだものかもしれません。
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 車窓から南洋興発が使っていた建物を二件見て、展望台に到着です。
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 ここにはサトウキビ運搬鉄道のホーム跡の残骸の一部が残されていました。そして展望台から見下ろすと、周囲はすべて切り立った崖の、まるで軍艦のような紡錘形の島が見えます。あれが「禁断の島」、名称の由来は要するに人が住めないということだそうです。ここは島の南東部なので、左手にはスーサイド・クリフを見ることができます。そしてこのあたり一帯には、サイパンでよく見かけるタガンタガンというマメ科の植物が生い茂っていました。ガイドブックによると、戦時中の爆撃で荒廃した土地を緑化するたえに、米軍がタガンタガンの種を空中散布したとのことです。しかし、繁殖力が強くどこでも繁茂するが有用な実をつけず、おまけに牛がこの葉を食べると消化不良を起こすようで、島民には評判が悪いようです。私は、日本兵が身を隠せないように、火炎放射器でサトウキビを中心とする植物を焼き払った可能性もあるような気がします。もし米軍が当時所有していたら、間違いなく枯葉剤(ダイオキシン)をばらまいていたでしょう。
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 そして最後にタンク・ビーチで自然の岩盤を利用した防空壕を見学し、今日のツァーは終了です。一生懸命にガイドをしてくれたMaxさんには心から感謝をしたいと思います。宣伝しちゃいましょう。この「PDIジャングルミステリードライブ 南コース」ツァーはお薦めです。
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 「Subway」で昼食のサンドイッチをたいらげ、部屋で一休みした後、またマイクロ・ビーチで海水浴です。遠浅の綺麗な砂地にすわって胸の辺りまで海水に浸かり、ゆるやかな波に身をゆだねているだけでもうわたしゃ満足。少し深いところに行くと、山ノ神は得意なホバリングを気持ち良さそうにはじめます。これは、両手を海中でゆっくりとまわし、体を逆「へ」の字型にして浮くという、強靭な上腕二頭筋と豊潤な皮下脂肪がないとできない荒技です。そして部屋に戻り、ビールを飲んで昼寝をして読書。そうそう山ノ神が竜巻の写真を撮ったとはしゃいでいました。
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 夕食はグランド・ホテルに行って、チャモロ・ディナーをいただきました。事実上日本の植民地にされていたためか馴染みのある味つけで、肉と魚料理を美味しくいただきました。猫が近づいてきたのですが、残念ながら食事の後。何もあげられずごめんね。送迎の車を待つ間、ホテル裏の浜辺を歩いていると、天の川がくっきりと見えました。しばし無言で散策し、その後車でホテルまで送ってもらいました。長い廊下を歩いていると、窓ガラスの外側にヤモリがへばりついています。実はわれわれはこの爬虫類が好きで、自宅の窓ガラスによくへばりつくフリードリヒというヤモリが懐かしくなりました。うしっ、君はフランツだ、明日もまた会おう。(雌だったら御免ね、エリザベートと呼びます)
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 本日の二枚は、禁断の島とタンク・ビーチです。
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by sabasaba13 | 2006-11-06 06:11 | 海外 | Comments(3)
Commented by ナナ at 2011-02-19 11:25 x
初めて書き込みをいたしますご無礼をお許しください。
実は、私の知人がこのたび、サイパン・テニアンの戦跡を紹介した書籍を出しましたが、ぜひともこの本を広げていただきたいと思っています。
わたしも一度、サイパンを訪れ、幾つかの戦跡を訪ねたことはあります。バンザイクリフなどとても衝撃的でした。
今回、知人が執筆しました本は、これらのサイパン・テニアンの戦跡全体を網羅し、サイパン戦などの経過とともに、460枚にのぼる膨大な写真とエッセイで、多くの埋もれている戦跡をも紹介しています。大変読みやすくできています。
わたしは、この本をきっかけに、これらの島々へ多くの方々が訪ねられ、平和について考えるきっかけをつくられたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

『サイパン&テニアン戦跡完全ガイド―玉砕と自決の島を歩く』(社会批評社)定価1680円
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-916117-91-5.html
Commented by sabasaba13 at 2011-02-27 20:23
 こんばんは、ナナさん。ご丁重なコメントをありがとうございました。浅学非才な小生故、見逃したものも多々あろうかと思っています。ぜひ参考にさせていただき、再訪の機をうかがいます。また良書がありましたら、ご教示ください。
Commented by なな at 2011-03-04 14:57 x
こちらこそどうぞよろしくお願いします。
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