「フェア・トレードとは何か」(デイヴィッド・ランサム 青土社)読了。フェア・トレードとは、途上国の底辺で働く人達が貧困から抜け出せるように、彼等から直接、より高い値段で、継続的に商品を買うことです。本書は、フリー・トレード(自由貿易)とフェア・トレード(公正貿易)の両者を歴史的にたどり、南の生産者と北の消費者の両方の現場を訪ね歩きながら、貿易とはいったい何のためにあるのかと問いかけます。ランサム氏の基本的な考えは、貿易が人間に奉仕すべきで、その逆であってはならない、ということでしょう。そしてこの運動を単なるブームや新しいブランドにさせたいために、公正さの目安として次の諸点をあげておられます。民主的な組織、承認された労働組合、児童労働の否定、まともな労働条件、環境の持続的維持、生産コストを保証する価格、状況改善のための社会的割増金(ソーシャル・プレミアム)、そして長期にわたる関係。そしてメキシコ、ペルー、ガーナ、グアテマラ、ドミニカなどを訪れ、現場の生産者たちと現状と未来を語り合う著者の姿には胸が熱くなります。彼の言です。
消費者が実際の生産コストより少なくしか支払っていないとしたら、いったい誰がその穴埋めをしているのか… 答えは、もちろん、生産者と環境であった。しかし、どちらも、永遠に搾取に耐え続けることはできない。遅かれ早かれ、なんらかのかたちで、消費者資本主義は、自らのつけを支払わなければならなくなるだろう。
そのつけを解消する手段と方策をさがしだすことが、今人類にとっての喫緊の急務だと思いますが、フェア・トレードは間違いなく有効な方策のひとつでしょう。しかも、少しの決意と少しの負担で、明日からでもわれわれが実行できる方策です。勉強不足を恥じるとともに、これからはフェア・トレードについてもっと知り、可能な限り協力と連帯をしていきたいな。
最後にドミニカのバナナ生産者エリベルトの奥さんの語った言葉です。フェア・トレードによって生活が改善され、喜びをもって彼女はこう言います。
いまでは、尊厳をもって私たちは生きることができます。ここには、私たちの子どもにとっても未来があります。
嗚呼、安倍伍長を筆頭とする政財界諸氏、この言葉を聞いてどう思いますか? 今、日本に住む人々は、尊厳をもって生きていると思いますか? そしてこの国には子どもたちにとって未来があると言えますか。