京都錦秋編(18):河井寛次郎記念館(06.11)

 そして本日最後の訪問先、東山にある河井寛次郎記念館へと向かいます。しかし天気予報どおり、小雨がふりはじめました。おまけに祇園や清水寺に続く茶碗坂のあたりが観光客で大混雑。苦労しながらもやっと到着です。この記念館は、これまで何回もその前を通り過ぎて気にはしていたのですが入ったことはありません。以前に放映された「美の巨人たち」で紹介され、これは是が非でも見てみたいと思った次第です。棟方志功筆の看板の脇に自転車を置き、さっそく入館。以下、スーパーニッポニカからの引用です。河井寛次郎(1890―1966)、陶芸作家。島根県安来の生まれ。東京高等工業学校窯業科を卒業して京都市立陶磁器試験所に入り、ここで浜田庄司を知る。1920年(大正9)に京都市五条坂に開窯し、翌年の個展において大いに注目された。初め中国・朝鮮の古陶磁の技法に倣ったが反省し、24年に浜田の仲介を受けて柳宗悦を知り、いわゆる民芸へと傾斜していった。以後、浜田と民芸派陶工の双璧をなし、翌年民芸美術館の設立運動でも活躍。黒褐釉、鉄絵、辰砂、染付、白化粧土、低火度な鉛釉などを使って奔放自在な草花や動物文を表した重厚な日常器皿がそのねらうところであり、民芸の具体像を完成させた。
 その彼が創作そして暮らしの場として設計したのが、この家。とても言葉では言い尽くせない、心がチューニングされ本来あるべき状態に戻るような心地よい雰囲気です。融通無碍な空間配置、黒光りする柱、小宇宙のような中庭。中庭の奥には、彼が使っていた登り窯も残されています。
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 そして彼自らつくった暖かい温もりをはなつ家具や電灯笠やオブジェの数々。そうしたオブジェや家具に触れることができるというのも素晴らしい。この見識には一礼します。やはり人間の手仕事により作られた物の息吹を感じるには、触るのが一番。
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 そして彼がデザインし自ら作った数々の椅子。これらにもすべて腰掛けることができます。中でも左上の椅子は、実際に座った山ノ神が絶賛していました。よほど彼女の臀部にフィットしたようです。私にはがばがばでしたが… 「あたしのお尻のために作ってくれたのかしら」 ちゃうちゃう。
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 時あたかも雨が本降りとなってきました。屋根を叩く雨音、濡れて光る瓦屋根、柔らかな光を室内にもたらす障子、微かに感じる湿気、そして木と土の匂い。五感すべてで堪能しました。ここにあるものはすべて美しい… 人の心を動かすのは、やはり人の手によってつくられたものなんだなあと痛感。「手考足思」、河井寛次郎の言葉です。

 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2007-03-02 06:19 | 京都 | Comments(2)
Commented by kogure613 at 2008-05-31 07:51
じぶんのブログに引用させていただきました。
京都にいながら、なかなかいけなかったので、ブログ(大山崎美術館について)をお読みし、今日行こうと思ったのでした。風が通ってじつに気持ちのよい金曜日を過ごすことができました。お会いしたこともないのですが、いつも読書はじめいろいろ参考にさせていただいています。ありがとうございます。小暮宣雄@京都府八幡市
Commented by sabasaba13 at 2008-06-01 18:20
 こんばんは、小暮さん。励みとなるコメントをありがとうございました。乱読の末のいいかげんな書評ですが、これからも続けていく所存です。京都にお住まいですか、羨ましいかぎりです。新緑の時節もきっといいでしょうね、残念ながらこの時期は仕事の関係でなかなか訪れることができません。
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