京都錦秋編(19):××寺(06.11)

 濃密なひとときを過ごし、外にでると雨は小降りになっています。山ノ神に感謝。そしてすぐ近くにある村井機械館の外見を見学。ここは、たばこ産業が国営化される前、明治時代の前半に煙草会社の経営で億万長者となった村井吉兵衛がつくった日本初の洋式工場の建物です。なお、ライバルである岩谷松平との間のたばこの宣伝合戦は有名ですね。ちなみに岩谷の宣伝根性に感動して広告業に関心をもった青年が光永星郎、電通の創始者です。ついでに紹介しますと、彼が個人的に建てた迎賓館が、円山公園にある長楽館で、現在喫茶店・ホテルとして利用されています。また二度と調達できぬ節無しの良材でつくった東京の山王にあった御殿を移築したのが、比叡山延暦寺大書院。後者は未見なので、いつか訪れてみるつもりです。それにしても、ちゃんと村井機械館と表記して地図に載せてある「歩く地図」には、あらためて敬意を表します。
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 ホテルまで自転車に乗って戻り、「京都見聞録」にホテル前に駐輪したことを電話で知らせ、鍵を封筒に入れてフロントに預け郵送してもらいました。まだ新幹線の発車時刻まで余裕があるので、五条駅から四条烏丸駅まで地下鉄に乗って移動、錦市場で田中鶏卵の卵焼きを購入。そして京都駅に行き構内の食堂で簡単な夕食をとって、帰郷。

 おまけ。実は某所を歩いていた時に、木々の向こうが赤く怪しくぼーっと光っているのを発見しました。これはもしや楓の群落ではないか。いそいそとその方向に行ってみると、小さな門がありました。そしてそこには「境内開放 ◎他言無用ノ事 ◎インターネット上記載ヲ禁ズ ◎高談戯笑ヲ禁ズ ◎火気厳禁ノ事 右 ××寺」という貼紙。一歩中に入るとそこは別世界。燃え立つような楓の数々に圧倒されました。手入れのなされていない荒れ果てた雰囲気が逆に風情をそそります。ドビュッシーの「沈める寺」のメロディが頭の中で鳴り響いたといったら気障かな、気障ですね。それにしてもこんな隠れ名所があるとは、京都おそるべし。
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 穴場その九:××寺


 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2007-03-03 07:38 | 京都 | Comments(0)
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