「ビッグ・イシュー 71号」

 「ビッグ・イシュー 71号」(2007.5.1)読了。以前にも紹介しましたが、ホームレスの方々の自立を応援するために、世界各国で行われている事業の一環として売られている雑誌です。この雑誌が定めた行動規範を守りながら街頭で販売し、一冊売れるごとに200円のうち110円が収入となるシステムです。その存在を知って以来、街角で見かけると購買するようにしています。表紙が「スパイダーマン3」というのがちょっと気になりますが、購買部数を増やすためにはしかたないのかもしれません。本号で気になった記事を二つ紹介します。
 まずは「自分の知らないうちに非倫理的企業の資金源に?」という記事です。イギリスの年金基金は他の企業への株式投資によって資産を増やしています。しかし具体的にどこに企業に投資されているかを実際に把握している従業員はほとんどいません。倫理的に問題がある企業に投資されているケースが多いという現実に対して、非営利団体「公正な配分のための教育財団」が「公正な年金」という活動を開始しました。要するにろくでもない企業、たとえば労働者を解雇して莫大な報酬を得ている人物を最高経営責任者にしている企業とか、環境を汚染している企業とか、温暖化防止に取り組んでいない企業とかを調査して発表するという活動です。環境・社会・ガバナンス(経営者の暴走や組織ぐるみの違法行為をチェックすること)に責任をもった行動を、企業にとらせようということですね。日本の場合、年金は企業に投資されていないと思いますが、企業の暴走をくいとめるための有効な戦略として同様な調査を望みたいですね。そうすれば従業員を過労死や自殺に追い込む企業に鉄槌をくらわすこともできそうです。環境・社会・ガバナンスを軽視すれば、将来たいへんな財政問題に発展することを思い知ってほしいですね。
 二つ目は「世界で死刑制度見直しの動き、日本では増加する死刑確定者」という記事です。(発信はアムネスティ・インターナショナル・ジャパン) 一部引用します。
 世界では死刑を廃止する国が増える中、日本では2000年以降、死刑判決が増えており、2月時点で死刑確定者が100名となった。
 アムネスティ・インターナショナルによると、死刑だけでなく、刑期が全体的に延びており、これは日本国内で治安に対する不安が増大していることを反映している。しかし、統計上、治安が悪化しているという事実はなく、メディアの報道などにより国民の不安のみが先走っていると考えられる。
 私は死刑には反対です。冤罪の場合とりかえしがつかない、いかなる理由であれ国家権力が人の命を奪うことは認めたくない、実際に執行をする人の精神的苦痛を配慮すべき、といった理由です。それに加えて、最近読んだ「神聖喜劇 第6巻」でもう一つの理由を教えてもらいました。「白痴」(ドストエフスキー)の中でムイシュキン公爵が言った台詞をもとに東堂が考察したものです。
 ムイシュキン公爵は、死刑執行の宣告が人間(当該死刑囚)に与える"間近い死(短時間内に殺される事)の確実な認識"、その認識が人間に齎す"恐ろしい(この世で最も強烈な)苦痛"について物語っていた。そこには"殺人罪によって人を死刑にするのは当の犯罪(殺人罪)にたいする甚だ過当な刑罰です。宣告を読み上げて人を殺すのは、強盗殺人などよりも遥かに残酷な行ないです"という言葉も、たしかあった。
 ドストエフスキー自身の経験からきているのでしょう、「死の宣告」がいかに人間性を蹂躙するものであるか想像にあまりあります。「犯罪抑止に効果的」という意見に対しては、死刑廃止にした国で犯罪が増加したという事実はない、あるいはだったら公開処刑にすべきだ、「遺族の心情を思え」という意見に対しては、それは第三者が言う台詞ではない、と私は反論します。死刑反対。

 追記。遅れましたが、のぞゑのぶひささん、手塚治虫文化賞新生賞の受賞、おめでとうございます。

 ●アムネスティ・インターナショナル・ジャパン http://www.amnesty.or.jp/
by sabasaba13 | 2007-05-20 08:41 | | Comments(0)
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