「DAYS JAPAN 『慰安婦』100人の証言」

 「DAYS JAPAN 6月号」観了・読了。何回も何回も紹介しておりますが、今世界で起きている現実を写真によって報道し、状況を変える一石になろうという志をもった気鋭の写真月刊誌です。昨今の萎縮した日本のジャーナリズムの中で、天狼星のように孤高に輝く稀有な写真誌、一人でも多くの人に読んでいただきたいな。というわけで、この写真誌を世に広めるための地道な広報活動を勝手に続けたいと思います。
 今月号も“特集「慰安婦」100人の証言”を中心に充実した内容です。軍は関与していないという主張をよく聞きますが、1938年3月に陸軍省副官通牒として出された「副官ヨリ北支方面軍及中支派遣軍参謀宛通牒」に「慰安婦」を徴集した業者は軍が選定し、軍の指示の下で働いていたことが証明されるとのことです。詳細は下記のサイトでご覧ください。

●国立公文書館アジア歴史資料センター http://www.jacar.go.jp/DAS/meta/MetaOutServlet

 また極東国際軍事裁判(東京裁判)で各国の検察団から提出された証拠資料の一部も紹介されています。ポツダム宣言の受諾が1945年8月14日、占領軍第一陣の上陸が同年8月28日、この約二週間の間に軍も政府も不都合な書類を思う存分片っ端から焼却したのですから、それほど多くの証拠書類はもう発見されないのかもしれません。しかし少なくとも軍が選定した業者が非人間的な状況に彼女たちを強いていたのですから、関与していないとは言えないでしょう。そして元日本兵の証言が紹介され、「慰安婦」100人の顔写真と短いコメントが載せられています。ある朝鮮人女性は、体が未成熟だったため日本兵に性器を切り開かれたそうです。安倍伍長、この百人の視線を受け止められますか。きっとあのポスターみたいに目を逸らすのでしょうね、「日本は美しい日本は美しい日本は美しい日本は美しい日本は美しい日本は美しい…」と呟きながら。

 他にも「スリランカ 終わりなき戦争」「武力衝突の続くパレスチナ」「チェチェンの戦後」など、世界の今をリアルに伝えてくれる写真と記事が満載です。今月号で特に注目したいのは、「美しい国・日本」で最近起きた二つの出来事です。
 まずは教育再生会議がまとめた「『親学』に関する緊急提言」の概要(毎日新聞07.4.26)。これが噴飯ものなので、全部紹介しちゃいましょう。
1.子守唄を聞かせ、母乳で育児
2.授乳中はテレビをつけない。5歳から子どもにテレビ、ビデオを長時間見せない
3.早寝早起き朝ごはんの励行
4.PTAに父親も参加。子どもと対話し教科書にも目を通す
5.インターネットや携帯電話で有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング」の実施
6.企業は授乳休憩で母親を守る
7.親子でテレビではなく演劇などの芸術を鑑賞
8.授乳児健診などに合わせて自治体が「親学」講座を実施
9.遊び場確保に道路を一時開放
10.幼児段階であいさつなど基本の徳目、思春前期までに社会性を習得させる
11.思春期からは自尊心が低下しないように努める
 アーハッハハハハッハハハハッハハハ あー可笑しい。要するに「親が悪い、教育予算など増やすつもりは毛頭ないから親が何とかしろ」ということですね。しかも何と近視眼にしてお手軽な内容。「徳目」はまず子どもよりも、政治家・官僚・財界諸氏に言ってくださいな。一笑いしたあと、ムカムカとしてきました。浅利慶太、海老名香葉子、小谷実可子諸氏がメンバーだということですが、一体謝礼をいくら払ったのだ! 記事にもあるとおり、これでは井戸端会議、教育最低会議です。教育における諸問題をすべて学校と親のせいにして、政治家・官僚・財界の利益のために滅私奉公する羊のように従順な人間に育てる教育改革を着々と進める自民党+公明党政権。いいかげん、その正体に多くの人が気付いてほしいのですが。

 もう一つは、大阪市が路上生活者2088人の住民登録を抹消したという事件です(07.3.29)。住民登録がないとどうなるか? 記事によると、住所がなくなり携帯電話がもてない、その結果はローワークなどで紹介される仕事は一切できない、雇用保険、国民健康保険、介護保険などのサービスを奪われ、そして選挙権を奪われる。もはや人間として扱わないということです。暴挙であり、時間をかけた虐殺ですね。なぜ行政がこうした措置にふみきったのか? 筆者は国民保護法の思想が背後にあると述べられています。武力攻撃が予測されると、住民を住居から追い出し、土地や物資を取り上げることができるという法律です。行政は住民をいつでも無権利状態にできるのだという既成事実づくり、あるいはデモンストレーションではないのか。うーん、なるほど。さらに筆者はこれと関係する改憲の動きにも注意を喚起されています。自民党の改憲案では、憲法文中にある「公共の福祉」いう文言を「公益」に変えようとしているのですね。これは迂闊でした、知らなかった… 日本語の公(おおやけ)という言葉は、大きな家、つまり権力や財力を持っている者というのが語源です。もともと「みんなの」という意味はないわけです。そのニュアンスをひきずっているのが現状ですから、「公益」とは権力や財力を持つ者、あるいは多数者ということを意味します。つまり少数者の自由・権利を「公益=権力者・多数者」のために制限できるようにしようという改憲案です。どうやら自民党のみなさんは、本気でわたしたちの自由・権利を奪い、戦争をおっぱじめようとしているのですね。ま、その恐ろしいまでの過信を支えているのは、自民党に投票した人たちの数なのでしょう。

 ●自民党憲法改正プロジェクトチーム「論点整理」 http://www.jimin.jp/jimin/kenpou/finish13.html

 「今ならまだ間に合う」を合言葉に、意見を述べ行動を起こしましょう。ナチス・ドイツ支配下で弾圧を受けたマルチン・ニーメラー牧師の言葉です。
 共産党が迫害された。私は党員でないからじっとしていた。社会党が弾圧された。私は党員ではないからやはり沈黙していた。学校が、図書館が、組合が弾圧された。やはり私には直接的な関係がなかった。教会が迫害された。私は牧師だから立ち上がった。しかし、その時はもう遅すぎた。
 追記。原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題で、高知県東洋町議会が持ち込みを拒否する条例を全会一致で可決、制定したそうです。やったあ! 感謝します、東洋町のみなさん。市民の命など屁とも思わぬ政治家・官僚・財界の暴走を食い止めることはできるのですね。今ならまだ間に合う… それにしてもいつまで日本を「トイレのないマンション」状態にしておくのでしょう? なお絶対に安全だというのなら、いっそのこと東京都が受け入れたらいかが、石原強制収容所所長。あなたが何の根拠も展望もなく強気に「だいじょうぶ」だと言えば、多くの都民は何となく支持しますよ。「米国が日本を守らないなら、日本は自分で自分を守る努力をする。これは米国が懸念する核保有につながるかもしれない」などとおっしゃるぐらいですから、すぐに核兵器として利用できるる高レベル放射性廃棄物の最終処分場は東京で決まり! その節は、ぜひ霞ヶ関か永田町か新宿の地下につくってほしいな。
by sabasaba13 | 2007-05-21 06:04 | | Comments(0)
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