「お伽草紙」

 「お伽草紙」(太宰治 新潮文庫)読了。ここしばらく通勤電車の中で「晩年」と本書をしばらく読んでいました。前者もなかなかよろしいのですが、「お伽草紙」は面白いですねえ。井原西鶴の作品を題材にした「新釈諸国噺」や、昔話を換骨奪胎した「お伽草紙」、他三編がおさめられています。ストーリーの面白さと語り口の洒脱さにつられて、あっという間に読了。人間のしたたかさ、愚かさ、醜さ、凄さ、美しさを堪能できます。彼は人間ってやつに、本当に興味をもっていたのだなあと痛感しました。中でも「貧の意地」「裸川」「カチカチ山」が好きです。貨幣経済が人間関係を破壊していく様をクールに描いた「貧の意地」は怖い小品。真面目で剛直な青砥藤綱としたたかな浅田の対比が面白い「裸川」。そして何といっても白眉は「カチカチ山」でしょう。なぜ狸があんな酷い目に会わなくてはいけないのか、太宰の話に耳を傾けてみてください。背筋が凍りますよ。
皮膚感覚が倫理を覆っている状態、これを低能あるいは悪魔という。
 追記。ここで先日掲載した問題の答えです。大宅壮一の「男の顔は履歴書である」という名文句の続きは「女の顔は請求書である」でした。インターネットで調べたところ、本当に彼がこう言ったのかどうかは不明のようです。藤本義一が言ったという説もありました。なお「政治家の顔は領収書である」という続きもあるとか。
by sabasaba13 | 2007-05-22 06:06 | | Comments(2)
Commented by 渡辺知明 at 2007-07-31 08:09 x
太宰治の作品を表現よみしているものです。
「カチカチ山」トラックバックさせていただきました。
お聞きのうえご感想など頂けたら幸いです。
Commented by sabasaba13 at 2007-08-01 07:44
 こんにちは、さっそく拝聴いたしました。純情にして愚かな狸(男)と、怜悧・冷酷な兎(女)の対比がうまく表現されていて楽しめました。テンポの変化と揺れがもう少しあってもよかったかなと思います。どうもありがとうございます。
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