「戦争中毒」

 「戦争中毒 アメリカが軍国主義を抜け出せない本当の理由」(ジョエル・アンドレアス きくちゆみ監約 グローバルピースキャンペーン有志訳 合同出版)読了。本書は印象的な場面からはじまります。「お母さん、学校でチャリティー・バザーするから手伝ってほしいって。トイレット・ペーパーを買うためだって」 PTA会議で校長はこう弁明します。「申し訳ない。地方財政は減り続けているし、連邦政府から補助はほとんどないんです」 そして連邦政府(自由裁量)予算の50.5%を軍事費が占めるという恐るべき事実が提示されます。そう、本書はなぜアメリカが戦争中毒なのかについて、一般市民向けに漫画をおりまぜながらわかりやすく概説してくれる好著です。結論から言ってしまえば、大企業および軍需企業の利権を守るための戦争を、建国以来し続けているのがアメリカ合州国という国です。1948年以来、アメリカが費やしてきた軍事費は15,000,000,000,000ドル、つまり15兆ドル以上。驚くべき数字ですね。フィリピン、ハワイ、キューバ、ニカラグア、ホンジュラス、ドミニカ、パナマ、メキシコ、グアテマラ、ハイチ、コロンビア、ベトナム、レバノン、リビア、アフガニスタン、そしてイラク。中南米を中心に世界のあらゆる地域で民間人を死にいたらしめながらアメリカ企業が血を滴らせて肥ってきたことがよくわかります。そして国民に対してはメディアを総動員して「自由と民主主義と国益を守るため」と訴え、戦争に協力させる。
 けっこう合州国のこうしたリアルな姿を知らない方も多いのではないでしょうか。教科書などでは絶対に語られないアメリカの本当の歴史を知るうえでも大変有益な入門書です。高校世界史の副読本として利用すれば、日本人の世界認識も確実に変化すると思います。以前に紹介しました「アメリカの国家犯罪全書」とともに、一人でも多くの人に読んでほしいな。
 著者からのメッセージを紹介します。
 日本や他の国々の人びとにとって、アメリカ政府はまるで一枚岩の攻撃的なイジメっ子で、その後ろに控えているほとんどの大衆は何も言わずにただ傍観している共犯者のように見えるのではないでしょうか。
 しかし、アメリカには軍国主義に反対するたくましい伝統があり、今日この伝 統は蘇りつつあります。この本を普及する努力は、アメリカ国内で私たちが軍国主義の手から逃れるための活動の一部でもあります。
 ジョエル・アンドレアスさん、もちろんわかっています。そうした思いをもつ世界中の人びとが手を取り合えば必ず事態を動かせますよね。ただ私の住むこの国には、軍国主義に反対するたくましい伝統が根付いていません。さらに攻撃的なイジメっ子のつかいっぱしりになりたがる安倍伍長という不可解な人物を首相としております。私なりに、軍国主義の手から逃れるための日本における活動に加わっていきたいと思います。それでは、お元気で。
by sabasaba13 | 2007-05-31 06:07 | | Comments(0)
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