ヴェネツィア編(30):サン・マルコ地区(07.3)

 さていよいよサン・マルコ地区の内奥へと分け入りましょう。まずはサン・マルコ寺院左手にある「ムーア人の時計」を拝見。二人のブロンズ製ムーア人が鐘を打つ大きな仕掛け時計で、一階のアーチ部分をくぐるメルチェリア(小間物屋通り)へとつながります。
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 経済・金融の中心リアルト地区と政治・信仰の中心サン・マルコ地区を結ぶ軸であるメルチェリア(小間物屋通り)からサン・マルコ広場に出る時の凱旋門のような存在になっています。メルチェリアは狭くて折れ曲がった路なのですが、多くの観光客・旅行客でにぎわっています。かつてこの路は、新しい行政官や司教が荘厳な行列をしつらえて広場へのパレードや、規則を破った娼婦への鞭打ち・引き回しなどにも使われたそうです。
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 そして小路を左に曲がって、地図を片手にようやくたどりついたのが、コンタリーニ・デル・ボーヴォロ宮。ボーヴォロとはカタツムリのことで、その名の通り幾重にも螺旋階段のついた塔が付属しています。残念ながら修復中で館の全貌を見ることはできませんでしたが、塔と階段部分が見られたのでよしとしましょう。それにしても見事な造形美、「天国への階段」と呼びたいですね。レッド・ツェッペリンの名曲の一節が脳裡をかすめました。
 そして向かうはフェニーチェ劇場です。この間はとりたてて観光名所はないのですが、街を歩いているだけで幸せです。時には直線の時には緩やかに曲がる薄暗い小路(カッレ)やトンネル(ソットポルテゴ)を抜けると、突然光にあふれる広場(カンポ)に出て視界が開け、また暗い息のつまるような小路へ。時々、穏やかな光に満ちる小さな中庭(コルテ)を見かけます。運河にかかる橋に出ると、水面に反射する光と建物の影や行き交う舟が視界に入り、吹き抜ける風を感じることができます。少し高くなっている橋の上からは、街の表情も少し変化して見えます。そしてまた薄暗い小路へ… 閉じた空間と開いた空間、光と影の交錯が、五感に心地よいリズムと刺戟を与えてくれます。歩くことの快感! 街全体が、こうした迷宮のような構造になっているのがヴェネツィアの奥深い魅力だと思います。
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 そうそう、フェニーチェ劇場の近くに「RIO TERA DEL ASSASSINI (暗殺者の小路)」がありました。(RIO TERAは運河を埋めてつくった路) なるほど、途中で路が曲がり、暗殺者が潜んでいても見えません。あるいは実際に殺人が行われた場所なのかもしれません。こうした歴史を滲ませる地名が多いのも、魅力の一つです。
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 サン・マルコ地区で見かけたマリアの小祠と顔型呼び鈴です。このあたりは逸品が多いですね。寝ている奴、ムンクの「叫び」風、西原理恵子風…
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 本編の足跡と本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2007-07-26 06:07 | 海外 | Comments(0)
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