北海道編(2):美唄(04.9)

 昨日とはうってかわり快晴。上の方で誰かが私のことを好きなんだ! 予定通り美唄とモエレ沼公園へ。特急列車の発車時刻まで40分ほどあるので、駅周辺を散策しました。まず駅前にある啄木下宿跡を見物。彼は札幌を「秋風の街」と評しています。そして北海道大学へ。広々とした敷地に樹木が生い茂る気持ちがよい大学ですね、ここは。ただ台風18号による倒木が無惨です。ポプラ並木も同様でした。古河講堂とクラーク像を見て駅に戻り、特急列車に乗って約30分で美唄に到着しました。
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 駅員の方に聞くと観光案内所はないとのこと。やむをえず観光地図をもらい、モーニングサービスを食べながら作戦をねろうとしたが、喫茶店が見当たりません。こういう時は郷土資料館へ行くのがよいとの経験則があります。ビンゴッ! そこで豊富な資料をもらい、休憩室でチェックし、今日のコースを組み立てました。見物したい所を貫くサイクリング・コースと、ロハの貸自転車があるのでこれを使いましょう。どうやら廃線となった炭鉱鉄道を利用したコースのようです。アプトの道以来廃線が気に入っているので、渡りに船。識見を感じますね、いいぞ美唄市。
 タクシーで起点となる旧東明駅に行くと、「今年から自転車貸出しは東明公園管理事務所に移転しました」というポスター。その上をウゾウゾと蠢く無数の虫… おまけに公園までの地図もいいかげんで、かろうじてたどりつたところが事務所がどこにあるのかわからない。だだっぴろい公園なのに案内図がないのです。一時間弱かかってたどりつきました。不親切だぞ美唄市。やれやれ、自転車を借りていざ出発です。樹木が邪魔して眺めが良くないのが残念ですが、美唄川と山の麓の舗装されたサイクリング・ロードを快走。途中で、謎の炭鉱物件や、廃屋となった住宅をしばしば見かけます。まずは三菱美唄記念館で美唄炭鉱についての学習。炭鉱施設や家々が建ち並び賑わう様子を映した写真を見て、無常を感じます。
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 そしてさらに川沿いにさかのぼり炭鉱メモリアル森林公園へ。ここには巨大な櫓二基と、電気関係を管理する開閉所、石炭を貯蔵する原炭ポケットが当時のまま保存されていました。蜻蛉が群れ飛ぶ中、寡黙に屹立しているその姿を見ていると、なぜか感傷的になります。
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 そしてUターンして、下り坂を気持ちよく駆け抜け、アルテ・ピアッツァ・美唄に到着。この地出身の彫刻家、安田侃(かん)の作品を展示している美術館です。驚いたのは、壁がないこと。少し小高い丘にある、天国に続くように空へと向かう階段を上ります。胸がワクワクする演出ですね。頂上に登りつめると起伏にとんだ広々とした芝生と木々がいきなり眼前に広がります。もうこれだけでも来たかいがあったというもの。そして美術館は、炭鉱の閉山により人口が激減し廃校となった小学校の校舎をそのまま利用してあります。一階は現役の幼稚園、二階が美術館、入場は無料。内部は、天井板をはがして朴訥とした梁を見せているほかは、教室・廊下は往時の姿をとどめています。そこに安田氏の手による大理石製の抽象彫刻が展示してあるのですが、まったく違和感がありません。それどころか、硬い素材+柔らかなフォルムの彫刻と、柔らかい素材+硬い直線により構成された教室と窓枠が見事にマッチしています。木の床のニスの匂いからは、ここで子供時代を過ごした人々の思い出が感じられ、それに彫刻が反応して息づいているようです。体育館も展示室として利用されるとともに、多目的ホールとして貸し出されています。ちょうどアマチュアの弦楽オーケストラが練習していたのですが、「豊かさ」と「幸福感」に満ち溢れた情景でした。いやあ、美唄に移住してこのオケの一員となって、ドボルザークの弦楽セレナーデを弾いてみたい。野外にも氏の作品が、空と借景となる山々と起伏にとむ芝生と木々を計算に入れながら配置されています。心が外へ外へとどんどん広がっていくような美術館。ほんとうに来てよかった。これまで訪問した美術館ベスト3にノミネートします。ちなみにあと二つは、牟礼のイサム・ノグチ庭園美術館と、オランダのクローラー・ミュラー美術館。
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 さて自転車で美唄にある炭鉱物件を見て回るという選択肢もありましたが、すばらしい快晴なのですぐにモエレ沼公園に直行することに決定。以下次号。

 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2005-02-18 06:40 | 北海道 | Comments(10)
Commented by shibatex at 2005-02-26 12:14 x
初めまして

TBありがとうございました。
すばらしい北海道レポートですね。
道民としてうれしいかぎりです。

こちらもトラバっておきます。
Commented by sabasaba13 at 2005-02-26 17:53
 こんばんは。コメントをありがとうございます。大自然の雄渾な姿と、人々のいろいろな営み、北海道は大好きです。モエレ沼公園がそろそろ完成するとききましたので、また行くつもりです。耳寄り情報がありましたら、是非教えてください。それでは。
Commented by jchz at 2005-02-27 19:27 x
TBありがとうございました。私は北海道は2回しか行ったことがないのです。しかも仕事で...寒いところが苦手なので、つい腰が重くなるのですが、この夏は、ぜひとも北海道で美術館めぐりを実現させたいと思いました。イサム・ノグチ庭園美術館の報告も楽しみにしてます。
あと臼杵の石仏の写真もよいですね。私は昨年12月に行きました。あの周辺も好きです。それでは、また遊びにきます。
Commented by sabasaba13 at 2005-02-28 21:27
 こんばんは。大変参考になる書評を、楽しみにしています。四国編をそろそろUPする準備をしております。臼杵の石仏は、頭部が地面にごろんところがっていた時のほうが好きでした。それでは。
Commented by twars at 2005-05-18 21:10 x
はじめまして。TBありがとうございました。
sabasaba13さんが訪問されたときには、アートスペースでアマチュアオーケストラの方が練習されていたのですね。2年前に安田先生のご講演で伺った話ですが、演奏会の際に鳥の声や虫の音などがバックグランドミュージック(一種のノイズ)になってしまうために、プロの演奏者の方には、まずはこの広場の自然環境の豊かさを理解していただいているそうです。
また、イサム・ノグチ庭園美術館は私もお気に入りの場所です。こちらにもTBさせていただきました。
Commented by sabasaba13 at 2005-05-19 18:39
 こんにちは、コメントをありがとうございました。なるほど、虫の音や鳥の声といっしょに聴けるコンサートは素敵ですね。ラベルの弦楽四重奏曲が合いそうです。それにしてもtwarsさんの美術館めぐりにかける情熱には脱帽いたします。多少でも、後塵を拝したいと思います。それでは。
Commented by yumemasa at 2005-09-06 21:08
TBありがとうございました。「「豊かさ」と「幸福感」に満ち溢れた情景でした。」って部分を読んでまたあの美術館に行ってみたいなと思いました。つい先日あの美術館をささえるNPOがたちあがったばかりです。今後ますますよいものになっていけばと思っています、上の方造成していましたよ。また作品が加わったようです。山崎正明
Commented by sabasaba13 at 2005-09-06 21:30
 こんばんは。実は私も、自分の書いた記事を読み直し写真を見ていたら、無性に再訪したくなりました。造成の結果と新しい作品が楽しみです。今度は山ノ神同伴で行くつもりです。きっと彼女も目を真ん丸くして見惚れることと思います。それでは。
Commented by MORIHANA at 2006-02-16 09:54 x
こんにちは…。TB、ありがとうございました <m(__)m>
また、拙blogにも時々、ぶらっと遊びにいらしてください。
ワタクシも、また訪問させていただきたいと思っています。
取り急ぎ、お礼まで。
Commented by sabasaba13 at 2006-02-16 16:28
 こんにちは。乱雑でちらかっておりますが、ご訪問をお待ちしております。貴ブログにもふらっと立ち寄らせていただきます。それでは。
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