クラシック・バスカーズ

 先日、杉並公会堂でクラシック・バスカーズのコンサートを山ノ神と聴いてきました。同公会堂はJR荻窪駅から歩いて十分ほどのところにあります。そういえばこのあたりに来るのは久しぶりだなあ、近衛文麿の邸宅「荻外荘(てきがいそう)」は今どうなっているのだろう、開演まで時間があるので荻窪ラーメンでも食べようか、などと考えながら歩いていると、突然脚が前に進まなくなりました。山ノ神が小生の袖をひっぱって物欲しそうな顔で左側を凝視しています。太陽のトマト麺? なんじゃそりゃ。テレビのグルメ番組で放映され、気になっていた店だということです。御意、さっそく賞味してみましょう。太陽のラーメンを注文し、にんにく・味付玉子・アオサのり・ねぎザル盛(青)をトッピングしてもらいました。トマト味のラーメンと聞くと異な感じがしますが、トマトベースのスープに細麺、ま、要するに汁気の異常に多いスープ・スパゲティだと思や、なんてこたありません。けっこう美味しくいただけましたが、が、が、許せないのが青葱。きざんでからかなり時間が立っているようで風味も汁気もなく、なかには半分ひからびているのも散見されました。青葱を愛するわれわれ二人にとっては、冒涜とも言うべき所為。神は細部に宿り給ふ、こうしたところまで気を配っていただきたいものです。
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 さて近年リニューアルされた杉並公会堂に到着、その前にある巨大なクリスマス・ツリーは今晩からイルミネーションが点灯されたようです。数人の女性がうっとりと見上げながら携帯電話で写真におさめておりました。それにしても昨今のイルミネーションの猖獗にはいささか閉口してしまいます。なぜ大勢の方々が雲霞のように群がって賛嘆するのでしょう。醜いとは言いませんが、それほど美しいとはどうしても思えません。単調で、直截的で、うすっぺらくて、感覚を直に刺激する、安物で子供だましの見世物だとしか思えないのですがね、私には。こうした感覚面でも幼児退行が進んでいるのかと思うと、暗澹たる気持ちになってしまいます。陰影を礼賛する感性がどんどん磨り減っているのでしょうか。ふう。今週のトラックバックテーマに真っ向から刃向かいますが、いたしかたありませんね。自説は曲げられません。
 前置きが長くなりましたが、いよいよコンサートのはじまりはじまり。どんな笛でも吹いてしまうマイケル・コプレイとアコーディオン担当のイアン・ムーアの二人で、ありとあらゆるクラシックの名曲を、時には真面目に、時にはコミカルに演奏しまくる二重奏です。もう抱腹絶倒っ! 融通無碍、縦横無尽にいろいろな曲を盛り込みながら、踊り・小道具・身振りを駆使して笑わせてくれます。そのユーモアを支えるしっかりとした技術と音楽性も見逃せません。特にうっとりとしたのは、パン・フルートの音色の美しさ。月並みな表現ですが、その哀愁をおびた音に心の琴線をゆさぶられました。あっという間の二時間、子供たちもけっこう来ていたのですが客席で大喜び・大はしゃぎしていました。いいですね、こういう雰囲気。やっぱり音楽は楽しくなくっちゃ。アーティストにしてアルチザン、喜びと楽しさと笑いに満ちたひとときをくれたこの二人にあらためて感謝したいと思います。多謝。
 こうした素晴らしい芸人を育てるのはやはり観客だと思います。芸のない芸人を蔓延らせている今の日本のお寒い状況もやはり幼児退行の一種なのでしょう。良い芸をたくさん見て鑑賞眼を磨くこと、そのために(できる範囲で)身銭を惜しまないこと、そしてつまらない芸人に「ひっこめ!」と罵声をあびせること、それが必要なのではないかな。
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 料理の手を抜くチェーン店、イルミネーションの流行、芸のない芸人の横行、恐るべき事態が進行しつつあるのではと危惧しています。
by sabasaba13 | 2007-12-10 07:41 | 音楽 | Comments(0)
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