北海道編(6):室蘭(04.9)

 薄曇りの朝、まずは大通公園へ。テレビ塔下から出発して、西へ。まずは啄木の銅像と歌碑を拝見。「しんとして幅廣き街の秋の夜の 玉蜀黍の焼くるにほひよ」 そしてお目当てのイサム・ノグチ作の滑り台「ブラック・スライド・マントラ」に到着。高さ3.6メートル、重さ80トンの黒御影石製の滑り台/作品は、磨かれ、触れられ、深く神秘的に輝いていました。「この作品は子どもたちのお尻で仕上げられる」と彼は語ったそうです。いざ滑らん、と近づくと昨日の雨で濡れています。どないしよ。どうしたと思います? 実はズボンを一枚しか持ってきていないので、ここで汚してはまずいと思い、滑りませんでした。今は激しく後悔しています。滑るべきであった… 再訪を期す。付近のベンチ・石橋・石組みや思わず駆け上がりたくなる小さくうねる丘も、おそらくイサム・ノグチのデザインだと思います。他にも「聖恩無彊」の碑、開拓の功労者ケプロン像、有島武郎の碑など、けっこう見所あり。
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 地下鉄で琴似に行き、現存する屯田兵屋を見学。また地下鉄で中島公園に戻り、豊平館へ。開拓使の貴賓接待所として建設された木造洋風建築です。日本初のホテルですね。内部が公開されているので、さっそく拝見。シャンデリアを下げるところの鏝絵(こてえ)は、なかなかの手練の作とみた。公園内を歩いていると、白い石の抽象彫刻を発見。む、もしやと思い近づくとやはり安田侃の作品でした。北海道立文学館を見学して、大通公園に戻り、テレビ塔地下の「あっぱれ亭」で味噌ラーメンを食しました。札幌時計台(札幌農学校演武場)を見物した時点でタイム・アップ。残念ながら「サッポロビール博物館」はカットして特急列車に飛び乗りました。
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 一時間強で東室蘭に到着し、乗り換えて室蘭へ。チキウ岬灯台と強制連行された中国人の慰霊碑を訪れたいのですが、前者は遠く、後者はどこにあるかわからない。やむをえずタクシー利用かなと思い、駅前で客待ちしている車に乗ろうとしましたが、虫の知らせが… もしや慰霊碑の場所を運転手は知らないのでは。そこで旧駅舎を利用した観光案内所に行き、室蘭に詳しい個人タクシーを紹介してもらいました。さとるタクシー[090-5951-1146]がやって来て、搭乗。室蘭観光に半生を賭けているような熱意をもった方で、よかったですよ。室蘭と聞くと、工業都市というイメージしかなかったのですが、川村悟さんに風光明媚な場所をたくさん教えてもらいました。室蘭は、「の」の字のような半島に囲まれた良港で、その半島部分に山がモッコリ盛り上がっているという変化に富んだ地形です。絵鞆岬や測量山の頂上からは、渡島半島、恵山岬、駒ケ岳、内浦湾、羊蹄山、有珠山、昭和新山、白鳥大橋、市内、工場群が一望できます。わんだほー。途中でキタキツネにでっくわしたのには驚愕しました。そうそう、絵鞆岬に「先住民慰霊碑」がありました。これは一つの識見ですね、罪が清算されるわけではないけれど。
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 そして灯台フリークの聖地、チキウ岬灯台へ。アイヌ語の「チケウエ(断崖)」がなまったそうですが、地球の丸さがわかるような水平線が見えるので「地球岬」という当て字もあります。丸く見えるわけはないのですが… 高さ100mほどの断崖に毅然と佇む白亜の灯台です。1920(大正9)年に設置されて以来、80年以上も光を投げかけてきたのですね。残念ながらそばには行けないのですが、灯台と水平線と紺碧の海と断崖の絶景を十二分に満喫いたしました。大きめの写真で紹介します。右の水平線に見えるのが、渡島半島です。 そして「中国人殉難烈士慰霊碑」へ。強制連行され、室蘭近辺で死亡した中国人の方々を慰霊する三角形の碑が、海に向って建っています。寂しげにポツンと一つ置かれた小さな花束が、印象的でした。合掌。
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 東室蘭駅に着き、川村さんに教えてもらったラーメン屋で味噌ラーメンを食べ、いざ函館へ。駅にフルムーンとやらのJR宣伝ポスターが貼ってあり、「妻と同じスピードで歩いていく。そんな小さな事が大切だと気づく。」とのコピーでした。思わず激昂しましたね、わたしゃ。うつけもの、いい年こいてそんな大事なことを知らなかったのか! スタスタ先に歩いて、何度山ノ神に叱責されたことか、ううっ。三歩下がって妻の影踏まず、常識です。そして日は落ち、夜である。沿線の小駅を石のやうに黙殺して、特別急行列車は一路函館へと全速力で馳せていきました。そうだ、帰宅したら葉山嘉樹の『海に生くる人々』を読んでみよう。
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 本日の二枚は、ブラック・スライド・マントラとチキウ岬灯台です。
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by sabasaba13 | 2005-02-22 06:31 | 北海道 | Comments(0)
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