「戦争遺跡探訪 日本編」

 「戦争遺跡探訪 日本編」(竹内正浩 文春新書580)読了。わりと旅行は好きなほうですが、計画を立てているときがけっこう楽しいですね。自分なりに興味を持つテーマと旅程を組み合わせるのがパズルみたいで苦労しますが、ガシャンと上手くつながると、「今、巨大な連関の鎖が音を立ててつながった!」と小槍の上でアルペン踊りを踊ってしまいます。今、関心を持っているテーマは、史跡、棚田灯台、学校物件(古い校舎・奉安殿・二宮金次郎像)、近代化遺産、火の見櫓、巨木、鯖、牛肉などです。最近、これに要塞、工廠、地下壕、トーチカなど戦争遺産が加わりました。近代史への興味から、あるいは戦後生まれとして戦争を少しでもリアルなものとして感じたいという思いもあります。そして何よりも、面白い! 虚飾を排し、ある機能に徹底的に特化した物件には、得も言われぬ存在感と美しさがあります。これまでも、猿島観音崎の要塞、館山舞鶴旭川大久野島などを経巡ってきました。しかし特殊な存在なので、やはりガイドブックが欠かせません。これまで「日本の戦争遺跡 保存版ガイド」(戦争遺跡保存全国ネットワーク 平凡社新書240)や「しらべる戦争遺跡の事典」(十菱駿武・菊池実 柏書房)を愛読してきましたが(特に前者はお薦め)、本書もこれからお世話になりそうです。第一部では、東京にある敗戦物件、館山、千葉の鉄道連隊、東京の軍需工場地帯と接収物件の紹介、第二部では時代を追っての戦争遺跡の開設、第三部ではその他の物件の落穂ひろいという構成です。不謹慎な言い方かもしれませんが、歴史研究者ではないアマチュアが戦争遺産を純粋に面白がるという気持ちがあふれでています。もちろん、時代考証や時代背景への考察はきっちりされていますが。また次のような奇抜な考察にも惹かれます。
 昭和29年に公開された「ゴジラ」の体長が50メートルだったのは、映画の中で破壊される銀座和光の高さが47メートル(避雷針先端まで)だったことと関係があるのではないか。建物とのバランス上、50メートルという設定にした気がするのである。
 なるほど卓見ですね。なぜキングギドラの体長が250メートルなのか、というつっこみもいれたくなりますが。
 所在地を示す地図も小さいものですが正確なものです。あえて難を言えば、正確な住所が記載されていないことと、索引がないこと。特に前者は大きな欠点だと思いますが、全体の価値を下げるほどの瑕疵ではありません。これから戦争遺産を見て歩こうと言う方にお薦めの一冊です。
 なお日本編ということは、これからアジア編、ヨーロッパ編が上梓されるのかもしれません。楽しみにしています。
by sabasaba13 | 2008-02-14 06:07 | | Comments(0)
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