「レッド」

 「レッド 第一巻」(山本直樹 講談社)読了。私の下手な文章よりも、本書の最後に記されている要約を紹介したほうが話が早いでしょう。以下、引用します。
 この物語の舞台は1969年から1972年にかけての日本。ベトナム戦争や、公害問題など高度成長の歪みを背景に、当たり前のように学生運動に参加していった普通の若者たちが、やがて矛盾に満ちた国家体制を打倒するという革命運動に身を投じていく様と、その行き着く先をクールに描き出す、若き革命家たちの青春群像劇である。
 私は1960年生まれ、よって全共闘世代の次にやってきた者たちの一人です。小学生の時に、「アンポッハンタイッ!」とわけも分からずに友人と騒いでいた記憶は微かにあります。そして大学紛争、よど号ハイジャック事件、あさま山荘事件とあいつぐニュースに、固唾を呑んでテレビの画面を見つめていましたっけ。ただ周囲の大人やメディアがふりまく「ひでえ学生たち」という先入観をひたすらすりすりとすりこまれたような気がします。今にして思えば、1968年5月にフランスで起きた五月革命をきっかけとする世界的な若者の異議申し立てと関連した動きなのですね。残念ながら、これらの事件の影響で、「学生は政治的活動をすべきではない」という圧力や暗黙の了解が社会に根づいてしまったのでは、と思います。政治を「関係する人々すべてを拘束することがらを決定すること」(橋爪大三郎)と定義すると、その事柄によってもっとも長い期間影響を受けるのは若者ですから、当然政治的活動や発言をすべきなのにね。こうした不幸な事態を変えるためにも、この時期の学生運動についてそろそろ冷静な議論をした方がよいと思います。何が正しくて何が間違っていたのか、私たちは何を拒否し何を受け継ぐべきなのか。
 第一巻はまだ大人しい展開で、本当に普通の学生たちが登場人物として動き始めました。ただ、これから死に至る人物に、その順序の番号が常にふられているのが怖いですね。「えっこの人が何で死ななくちゃいけないの」と思ってしまいます。執拗に対象に食い下がる山本氏のことですから、これから大いに期待します。なお氏も1960年生まれだそうです。
by sabasaba13 | 2008-05-03 09:44 | | Comments(0)
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