瀬戸内編(13):室積~周防大島(08.2)

 さてやってきたバスに乗り込み、約50分で柳井に到着。昨日寄れなかった室積に行くことにしましょう。山陽本線に乗って20分ほどで光に到着、ここでバスに乗り換えて15分ほどで室積に着きました。室町時代から山陽海路の要津でしたが、享保年間の大火や不漁でさびれてしまったそうです。そこで藩主・毛利重就が藩経済立て直しのため、ここに撫育方という役所を置き、北前船を誘致して港建設に投資しました。これが成功し、鉄道の普及によって海運業が衰えるまで、ここ室積の黄金時代が続いたとのこと。その名残が、海商通りを中心に残されている町並みという情報を入手し、やってきたわけです。普賢寺の前で下車し、その門前から続く海商通りを歩き、「あいご」という細い路地を抜けて海辺へ出ると、御手洗湾とそれを包み込むように細長く伸びる象鼻ヶ岬(別名、周防の橋立て)が見られます。こちらには復元された燈籠堂(昔の灯台)やかつてこの地を旅した種田山頭火の句碑がありました。「わがまゝな旅の雨にぬれてゆく」
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 そして再び海商通りへと戻り、しばらく散策しましたが、白壁の古い家が点在するだけでそれほどの情緒はありません。高札場跡にあった半鐘つきの古い火の見櫓(というよりも火の見梯子)を写真に撮り、予定を早めに切り上げてそろそろ今夜の塒へと向かいましょう。
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 バスで光駅に戻り、山陽本線に乗ること30分弱で大畠駅に到着。めざすは周防大島です。この島には大島大橋がかかっており、車で宿まで行くことができます。安くて夕食抜きの適当な宿がなく、苦渋の結果、やや宿泊料金が高い大観荘という大きな温泉ホテルを選びました。幸い夕食なしでOKでしたが。ただ瀬戸内に沈む夕陽の名所だということ、時あたかも夕暮れです。駅前でバスの時刻表を確認すると少し間があり下手すると日暮れてしまいます。しゃあない、乾坤一擲、タクシーに飛び乗って宿へ向かいました。橋を渡る時には、車窓から橙色の丸い夕陽がまさに沈みつつあります。十分弱で着き、チェックインの手続きももどかしく済ませ、部屋に荷物を放り投げ、外へ出ると… 嗚呼、夕陽は雲の中… 遅かりし由良之助… すごすごと宿へ引き返し、フロントで観光地図をいただき島内バスの時刻表をコピーしてもらい、明日の作戦をたてながら夕食をとることにしましょう。しかし宿のレストランはこの時間は休業、団体客のみなさんは大広間で賑やかにお食事をしているようです。いいんだいっ! こちとら孤高の旅人でいっ、と引かれ者の小唄を口ずさみながら宿周辺を歩き回ると… 食事処がない。やむをえず隣にあったラーメン屋でラーメン+炒飯+餃子セットを食しながら、明日の旅程を考えました。まず周防大島はでかい! (淡路島・小豆島についで三番目) よってできれば高額になるタクシーは使いたくない。でもバスの本数はきわめて少ない。見たい所は、久賀の石風呂・下田(しただ:宮本常一氏の故郷)・平野にある文化交流センター(宮本氏に関する展示)。これと列車の便を組み合わせて、ベターな旅程を捻り出しました。タクシーで久賀の石風呂まで行き待機してもらって見学、さらに下田まで連れていってもらう。ここを徘徊して徒歩で平野まで行きセンターを拝見。そして11:00平野発の路線バスに乗って大畠駅まで行き、11:53発の列車に飛び乗る。がしゃん 巨大な連関が音を立てて繋がった、これでいきましょう。宿に戻り、ちょうど宴が酣なのでしょうか誰もいない露天風呂にのんびりとつかり、旅の疲れを癒しました。

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2008-09-18 06:12 | 山陽 | Comments(0)
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