瀬戸内編(16):周防大島(08.2)

 さあそれでは歩いて平野まで行きましょう。途中で咲き誇る梅と菜の花を発見、写真におさめました。十数分で到着、手前が作詞家の星野哲郎記念館(代表作は『男はつらいよ』 『あんこ椿は恋の花』 『三百六十五歩のマーチ』)、その向こうが周防大島文化交流センターです。前者は省略して、さっそく文化交流センターに入ってみましょう。
瀬戸内編(16):周防大島(08.2)_c0051620_653787.jpg

 設立の趣旨をホームページから引用しておきます。"周防大島文化交流センターは、この島に生まれ、半世紀にわたって日本の国土を歩き続けた民俗学者宮本常一(1907-81)の著書、蔵書、撮影した写真等を収蔵しています。宮本常一は「庶民の文化の発見者」として知られるだけでなく、離島振興や農山村の地域づくりの実践者でもありました。このセンターでは、宮本常一の足跡、思想や思考などを学習することや、島の産業の歴史や文化の体験学習を通して、島内外の都市や農山漁村との、人・技術・知識・知恵の交流を促進し、島の未来を担う創造的な人の育成を目指しています" まずは「学問と情熱 宮本常一」(45分)というビデオを拝見。時間の関係で最後の方は見られませんでしたが、手際よく氏の生涯と業績をまとめてものでした。さて見学です。思ったよりも狭いスペースに、氏の指導のもと島の青年有志が収集した周防大島の農耕・養蚕・運搬・漁撈関連の民具が並べられています。壁面には、『宮本の目』 『日本の離島』 『宮本の仲間たち』といった、彼が残した写真を利用しての展示があります。木組みの展示は『長州大工の技』。奥には、海を見渡しながら、彼の写真をコンピュータで閲覧できるスペースがあります。
瀬戸内編(16):周防大島(08.2)_c0051620_6661.jpg

 中央には収蔵庫、ここには宮本常一の著書や蔵書約2万冊(初出誌・単行本・アチックミューゼアムの出版物)、柳田國男の初版単行本、歴史学・民俗学・人類学・農林業・漁業・塩業・観光文化・美術に関する書籍のほか、全国の市町村誌、多数の雑誌・民俗調査報告書・紀要類などが収蔵されています。そして一角には小さなガラスケースに収められた彼の愛用の遺品が展示されていました。二台のカメラ(アサヒフレックスとキャノン)、水筒、虫眼鏡、眼鏡とケース、風土記(岩波文庫)と万葉集(角川文庫)、ペン二本、そろばん、パスケース(中には飛鳥資料館の入館証)、お守り五つ(一つは西宮神社)、糸と針、電気髭剃り、糊、そしてよれよれのバッグ。日本全国を隈なく歩いた氏の良き伴侶たち… ああやっと念願が叶い周防大島に来られて幸せです。でもまだ常一さんの声が遠い所から響いてきます。「歩いてみろ、旅はええぞ」

 本日の一枚です。
瀬戸内編(16):周防大島(08.2)_c0051620_663044.jpg

by sabasaba13 | 2008-09-21 06:07 | 山陽 | Comments(0)
<< 瀬戸内編(17):周防大島~呉... 瀬戸内編(15):周防大島(0... >>