2005年 05月 30日 ( 1 )

ジャン・ワンの無伴奏チェロ組曲

c0051620_20185033.jpg 先日、銀座の王子ホール(王子製紙ビル内にある小ホール)で、上海出身のチェリスト、ジャン・ワンの二夜連続J.S.バッハ作曲無伴奏チェロ組曲演奏会を聴いてきました。第一夜は、第1・4・5番。使用楽器がA&H.アマティ(1622)から、マッテオ・ゴフリラー(1736)に変更になったという掲示がありました。。係の方に訊ねたところ、来日直前に不調となり、急遽借用したとのことでした。ん? ゴフリラー? もしやパブロ・カザルスが使ったものでは。先ほど調べましたが、彼の楽器は1733年製なので、違うものでした。
 きっとバッハの頭の中ではこう響いていたろうなと思わせるな、安心してすっと音楽に入っていけるオーソドックスな演奏でした。こういう大言壮語しない素直で落ち着いたバッハも良いですね。ただ慣れない楽器のためか、低弦の発音が時々上手くいかず、音がかすれるケースがあったのは残念。弦を押さえる左手の人差指で、少し絃をはじいてから弾きはじめるなど苦労していたようです。第5番プレリュード冒頭の大事なCの重音がかすれた時には、聴いていて冷や汗が出ました。第二夜は、第2・6・3番。調整の成果か、気になるような瑕疵もなく、集中して音楽に没入できました。ダイナミクスや表情の変化も昨晩より大きくなったような気がします。実は私、この曲を弾きたいがためにチェロを練習しているのですが、肘と柔軟な手首を巧みにコーディネイトさせる技術は大変参考になりました。滑らかな移弦にはいつも苦労しているので、この練習が必要だと痛感。精進精進。「下手くその上級者への道のりは己が下手さを知りて一歩め」(安西監督)ですね。演奏が終わると、最前列に座っていた外国の方が、幸せそうな様子でスタンディング・オベーションをしていた姿が心に残ります。なお7月3日にNHKで、この演奏会が放映されるそうです。お楽しみに。それにしても、番組に圧力をかけた政治家と、それに屈して番組を改編した問題はどうなっているのでしょう。絶対に忘れてはいけない/許してはいけないことだと思います。その政治家の一人が、次の首相も靖国神社参拝をするべきと言っているようですね。この番組に対しても「中国人の演奏は放映するな!」とまた圧力をかけるのかな。やれやれ。
 ジャン・ワンは誰かに似ているとずっと考えていたのですが、やっと思いつきました。マイケル・チャン(テニス・プレーヤー)の試合の時に、必ず付き添って意志の強そうな表情で観戦していた、兄でありコーチでもあるカール・チャンに似ていました。不屈の闘志を知性と冷静さで包むこの兄弟が大好きなのですが、今はどうしているのだろう。

 蛇足。王子ホールはすむかいのビルに「日本吹矢協会」がありました。たぶんスポーツとしての吹き矢が存在するのでしょうね。
by sabasaba13 | 2005-05-30 07:58 | 音楽 | Comments(0)