2005年 06月 27日 ( 1 )

ロンドン戦争博物館

 遊就館に行った後で、ロンドンの戦争博物館のことを思い出しました。ヨーロッパの都市へ行くと、戦争博物館がよくあることに気づき時間が許す限り見学することにしています。ウィーンの軍事史博物館ではサラエボで暗殺されたフェルディナン皇太子の血塗れの軍服に息を呑み、ストックホルムの武器博物館では剥製の軍馬が機械仕掛けで突然バケツを蹴って心臓が一時止まったり、いろいろと思い出があります。やはりヨーロッパの絶対王政国家・国民国家は戦争と二人三脚で歩んできた歴史があるのだなあと思います。ただ遊就館のように自国の戦争を無条件で賛美するという姿勢はないようです。(もちろん言語が十分に理解できないので雰囲気を感じただけですが) 中でも忘れられないのが、ロンドンの戦争博物館です。機関銃、戦車、毒ガス用マスクなど第一次大戦で使用された新兵器の数々にも興味を惹かれましたが、「Trench experience (塹壕体験)」という展示に圧倒されました。第一次世界大戦は、機関銃が使用されたことにより白兵戦が不可能となり、塹壕を掘って対峙しあう戦いが中心となりました。(塹壕の中で着るためにつくられたのがトレンチコート) その塹壕をまるごと本物そっくりに復元し実際にその様子を体験させてくれるのが、この展示です。塹壕の各所に戦う兵士、傷ついた兵士、倒れた兵士などのリアルな人形が配置され、その隙間をぬって塹壕の中を見学者は歩いていきます。すごいのは、リアルな戦争を五感すべてで体験してもらおうという努力・工夫です。触るとざらざらする塹壕の質感、爆弾の破裂する轟音、不愉快でじめじめした湿度と温度、そしてえもいわれぬ何と表現していいかわからない匂い! 身も心も圧倒されました。お化け屋敷なぞ屁とも思わぬ気丈な山ノ神が、途中で「もういやっ」とうずくまってしまったほどです。今までは頭でしか分かっていなかったことを、私は全身・全神経で理解しました。戦争とは汚いものだ。
 あらためてこうした展示を考えた方々、その実現に尽力したスタッフに、心の底から感謝したいと思います。学芸員が子供たちに展示の解説をしている光景もよく見かけました。賛美するのではなく、目を背けるのでもなく、戦争というものをできるだけ客観的にかつリアルに、次の世代に伝えていこうという姿勢を強く感じました。ぜひ日本でもこうした博物館をつくってほしい。特に「沖縄戦体験」という展示は早急に次の世代に体験して欲しいですね。「軍隊はまず自分たちを、次に給料を払ってくれる政府を守る」という冷厳なる事実をぜひ伝えるべきです。なお、保護者の財政的負担の軽減を理由に、修学旅行費用の上限を厳しく抑える自治体・教育委員会が増えていると聞きました。そのため沖縄への修学旅行が激減しているそうです。これは戦争の真実を子供たちに知らせたいための措置ではないかと、勘ぐってしまいます。
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by sabasaba13 | 2005-06-27 06:15 | 鶏肋 | Comments(0)