2006年 11月 26日 ( 1 )

「「ニート」って言うな!」

 「「ニート」って言うな!」(本田由紀+内藤朝雄+後藤和智 光文社新書237)読了。働かず、就学もせず、求職行動もとっていない若者=「ニート」が、日本の将来を危機に陥れるという言説が巷にまかりとおっています。正直に言って、私も多少の危機感をもっていました。その取り上げ方に正面から立ち向かい、そうした言説自体がおかしいと真っ向から反論するのが本書です。本田氏は「ニート」という言葉自体が不適切であると論じ、内藤氏は人々の憎悪と不安を「ニート」に向けさせるメカニズムを論じ、後藤氏はジャーナリズムにおけるこの言葉の扱われ方をていねいに検証するという、三部構成です。
 若者が求職活動をしなくなった最大の原因は企業側の新規学卒者採用の抑制であるのにもかかわらず、それを個々の心の問題にすりかえようとするのが、この問題の本質です。さらに独立行政法人化した労働政策研究・研修機構が、社会の注目を浴びる格好の素材として「ニート」問題を取り上げたこと、また「ニート」支援をうたい行政の補助金やビジネス・チャンスをねらう団体の存在など、この言葉の流布によって利益を得ようとする動きなどが紹介されています。さらに最近の若者は情けない/凶悪だ、というイメージを広めることによって、青少年に対する管理や統制のシステムをつくろうと手ぐすねしている政治家や官僚の存在。自民党の武部前幹事長はかつて講演で、青少年を取り巻く諸問題について「少し暴論になるかもしれないが、自衛隊にでも入って、サマワみたいなところに行ってみてはどうか。緊張感を持って活動してみると、(若者らの姿勢が)三カ月ぐらいで瞬く間に変わるのではないか」と述べたそうですね。徴兵制への地均しという側面も見逃せません。
 やはり一世を風靡するような流行語には、とりあえず簡単にのっからず眉に唾をつける必要がありますね。自戒自戒。
by sabasaba13 | 2006-11-26 22:50 | | Comments(0)