2007年 01月 21日 ( 1 )

劇団四季の「オペラ座の怪人」

 先日劇団「四季」のミュージカル「オペラ座の怪人」を見てきました。山ノ神が安くチケットを入手できたというので、誘いにのって供奉した次第です。実はこの劇団のミュージカルを見るのははじめて、この目と耳でその実力を確かめ楽しみたいと思います。駅に貼ってあるポスターにも「『オペラ座の怪人』は凄いらしい」と書いてあるしね。
 都営十二号線(※あのレイシストがつけた名称は使いたくありません)汐留駅で下車すると、目の前に広がる広大な地下通路。山ノ神は「四方八方に100mダッシュをしたい」とのたまい、私はその冷え冷えとした雰囲気から「カーリングのコートを何面つくれるかな」と思ってしまいました。ま、いずれにせよ、このあたり一帯は、かつての国鉄の所有地=大事な大事な国民の財産を企業に売っぱらって出来上がった空間です。軽食でもとろうかと、某ビルの地下に入ると、ぬぅわんと小籠包の名店「鼎泰豊」がありました。互いに見合す顔と顔、開演までは約30分、ここは勝負です。パイクー炒飯と小籠包を注文し、あっという間にたいらげ、開演3分前に電通四季劇場「海」にかけこみました。やれやれ。二階席はかなりの急斜面で、舞台もそれほど大きくありません。観客が舞台に集中できるよう、設計を工夫したようです。さてはじまりはじまり。
 パリのオペラ座に住み着く怪異な容貌の音楽家が、手段を選ばずに可憐な少女をprima donnaに育て上げようとするお話。結論から言うと、期待以上に楽しめました。豪華な衣装、スピーディーな場面転換にも対応できる壮麗な舞台装置・装飾、そして俳優の歌唱力、いずれも「たくさん毛が生えている学芸会」という先入観をこなごなに打ち砕いてくれました。瑕疵をあげれば、中低音部の歌声が弱く張りがない、二重唱・三重唱で歌詞が聞き取りづらい(マイク使用のため音が重なり合ってスピーカーから出てくるためか?)、オーケストラの音に厚みがない(電子楽器を多用しているためでしょう)、それぐらいかな。たしかに満足はしました、しかし心全く動かされませんでした。素敵なメロディを美しく歌い観客を魅了するという路線をとるかぎり、やはりオペラには敵わないでしょう。生のオペラをそれほどたくさん聞いているわけではないのですが、それでも身も心もとろけるような甘美なひと時には何度も出会えました。残念ながら、それを可能にする歌唱力とオーケストラの演奏技術は劇団「四季」には望めないと思います。舞踊と外連たっぷりの舞台装置・装飾を磨いていけば、もう少しひきつけられる舞台になるのではないかな。
 小生の如き田舎漢が厚顔にもこんな偉そうなことを言えるのは、これまでにたくさんの“極上”に出会えたからだと思います。オーソン・ウェルズや志村喬の演技、ジーン・ケリーの踊り、モーツァルトやワーグナーの音楽、フェルメールやクレーや若冲の絵、パリやプラハの街並み… そうした出会いに心から感謝するとともに、「四季」のみなさんの精進に期待します。ぜひ魅惑的な舞台をつくっていってください。
by sabasaba13 | 2007-01-21 08:28 | 音楽 | Comments(0)