2008年 09月 06日 ( 1 )

瀬戸内編(4):大津島~徳山(08.2)

 出航までのしばしの時間、紫煙をくゆらし海鳥を見ながらいろいろと物思いにふけってしまいます。特攻命令を待機している時の気持ち、命令を受けた時の気持ち、「回天」に乗り込む時の気持ち、目標に達するまでの気持ち… とても想像が及びません。実は今回持参した短編小説集「出発は遂に訪れず」の著者島尾敏雄氏は、特攻艇の乗組員として、加計呂麻島の基地で待機中に敗戦をむかえた方です。その当時のことを描いた「島の果て」という短編にこういう一節がありました。
 その頃は毎日がぷつんと絶ち切れていて、昔の日とも将来ともつながりがないように感じられてきました。それは怖ろしいことでした。どんなことにも感動しなくなってきたのです。そして思い出したように血が狂うのです。血の狂う日は心の中に雨ぐもが低く低くたれこめていました。
 血が狂うような酷烈な日々と時間。さて、死んだ人々は還ってきません、それでは私たちは、何が判ればいいのか? 彼らは私たちに何をしてほしいのか? その非業の死に対する顕彰ではなく、二度とそのような死を若者に強いないこと、だと思います。そしてこうした死を強いた責任の所在を徹底的に解明し追及し批判すること。それは個人、あるいは組織、あるいは文化や思考様式に及ぶでしょう。こうしてみると、若者に非業の死を強いるシステムは本質的に変わっていないのではないのではないか。非正規雇用や過酷な労働条件という形で、若者たちに絶望と緩慢なる死を強いている今だからこそ、彼らの沈黙に耳を傾けるべきだと思います。
 さて船に乗り込みましょう。帰りの便はいくつかの港に寄っていくので、徳山港まで40分強かかります。船室に入ってぬくぬくと暖まりながら、これからの旅程を考えることにしました。今晩の宿は祝島なので、柳井港15:30発の最終便に乗船することが絶対必要です。今の時刻は午後一時ちょい過ぎ。当初の予定では山陽本線で光まで行き、路線バスで室積に行きそちらを見物、そしてタクシーで柳井港まで駆けつけようと考えておりましたが、ちょっと弱気になってきました。無理かなあ… よろしい、石橋を叩きましょう。柳井まで列車で直行し、町並みをぶらぶらと散策して、港に行くことにしました。室積は、明日時間があれば寄ってみましょう。
 そして船は徳山港に到着、列車がくるまで時間があるので駅の食堂で昼食をとることにしました。西日本に来て食事の選択に迷ったら、うどんです、うどん。歯の折れそうなもちもちした腰の強さ、上品な昆布だしのつゆ、そして薫り高い青葱の奏でる三重奏。さっそく月見うどんを所望しましたが、べとべとした腰の弱さにはがっかり。空腹だったので瞬時にたいらげましたが。
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 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2008-09-06 08:23 | 山陽 | Comments(0)