2010年 07月 11日 ( 1 )

五島・対馬・壱岐編(9):奈良尾港(09.9)

 さて船の出航時刻が近づいてきました、そろそろターミナルへ向かいましょう。途中にあったのが「西九州たばこ耕作組合福江支所」という看板、そしてその脇には「五島のたばこは日本一 うんまかよ~ 吸うてくれ! 好いちょっと、国産たばこ」というほのぼのとした手書きのポスターがありました。喫煙者を蛇蝎か悪魔の如く忌み嫌う昨今の風潮のなかで、なかなか剛毅なアピールです。蛇蝎の末席を汚す者としてエールを送りましょう。ふぁいとっ どうやら五島は煙草の産地であるようですね、じゃあせっかくだからお土産に…なぜ買えないのだろう? 地酒・地ビールがあるのだから、地煙草があってもいいじゃないか。税金とのからみなのでしょうが、どうも煙草をめぐる状況にはもやもやとした胡散臭いものを感じます。
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 そして福江港ターミナルに到着、9:20発のジェットフォイルに乗り込み、中通島奈良尾港に向けてさあ出航です。あいにくの曇天で視界も悪いのですが、左手の船窓を次から次へと移り過ぎていく様々な形の島影は見ていて飽きません。好天だったらさぞ美しいことでしょう。
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 そして三十分ほどで奈良尾港に着岸です。さっそくターミナル内にある観光案内所でパンフレットをもらい、タクシー会社に電話をしてみました。
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 「あいにく出払っておりまして…」 しようがない、次。「申し訳ありませんが…」 次。「今日は予約がいっぱいで…」 何だ何だ、いったい中通島で何が起こったんだ、世界遺産に急遽登録されたという話も聞いていないし、トライアスロン大会をしている様子もないし、酒井法子が潜伏しているという噂もないし。最後のタクシー会社が、「三十分ほどお待ちいただければ配車します」という地獄に仏的回答をくれたので安堵の溜息をつきながら応諾、やれやれ。それではしばしターミナル内を徘徊しましょう。
 この地でさかんな遠洋まき網漁業のジオラマ展示を拝見し、自衛隊の看護学生募集の要項を斜め読みし、後学のために「暴力団等の不当な要求に対する応対要領」を熟読。外へ出るとモニュメントがあり、その解説で、この奈良尾町は、一説によると1596年ごろに紀州広浦(和歌山県広川町)の漁師たちが、飽和状態となりつつあった瀬戸内海を離れ、命をかけてこの地でカツオ釣りをはじめたことに由来すると記されていました。へえー、宮本常一の世界だなあ。こうした話はけっこう各地で聞きますので(例えば銚子)、あらためて紀州漁師のフロンティア精神と軽やかなフットワークには感嘆の念を覚えます。
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 しとしとと小糠雨が降ってきたので、屋根のある待合室のベンチに座ってさきほどいただいたパンフレットを読み、訪れる教会を確認していました。すると、つかつかと男性が近づいてきて「美鈴タクシーの者ですが」と声をかけられました。満車のため断ったけれど心配になり様子を見に来てくれた、美鈴タクシー営業所の方でした。レンタカーを借りて案内をしましょうかという何とも嬉しいオファーに対し、三十分後にタクシーが来てくれると話すと、ああよかったと安心された表情でした。そのご厚意に恐縮し感謝の言葉を伝え、しばし四方山話をしました。「いまどき携帯電話をお持ちでないとは世界遺産ものですね」とおっしゃるので、「いやまあ、重要無形文化財ぐらいですよ」と謙遜。どういうわけか今日は突然教会めぐりをしたいという客がたくさん押しかけてきて、満車となったそうです。いつもだったらこのへんで運転手がたむろして暇そうにしていますよ、ということでした。教会めぐりについて訊ねると、やはり大曾・青砂ヶ浦・頭ヶ島は外せないので、この三つを中心に回り奈良尾港に帰ってくるとなると四時間は必要でしょう、というお答え。うん、やはり早い船便で来て正解でした。教会群が注目を集めはじめ観光客も増えてきたのですが、どうも島の人間にはもてなしの心(hospitality)が欠けるというのがご不満のようでした。また有川港の近くに美味しい五島うどんが食べられるという耳寄り情報もいただきました。

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2010-07-11 08:37 | 九州 | Comments(0)