2013年 01月 12日 ( 1 )

山形編(38):湯野浜温泉(11.8)

 二十分ほどで安良町公民館(旧鶴岡警察署大山分署)に到着、さっそく車から下りて拝見しました。竣工は1885(明治18)年、下見板貼りの擬洋風建築で、さきほど致道博物館で拝見した鶴岡警察署庁舎を小振りにした建築。もう町の景観には欠かせない建物なのでしょうね、むやみに毀さず公民館として再利用している町の方々の見識に敬意を表したいと思います。ただ、この建物の中で、かつて社会主義者・労働運動家に対する苛烈な取調べや拷問が行われたことはなかったのでしょうか、すこし気になります。もしそうだとしたら、そうした負の遺産としての側面にも触れた解説板が欲しいところです。湯野浜温泉に近づくと、雲が切れ、お天道様が顔を出しはじめました。これは日本海を染め上げて海に沈む夕日を見られるかもしれない、小さな胸は期待でふくらみます。鶴岡から三十分ほどで湯野浜温泉「愉海亭みやじま」に到着。
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 チェックインをして部屋に案内してもらい、さっそくベランダに出ると…おお、眼前に広がるは日本海、そして真赤な夕日がまさにいま沈もうとしているところでした。運の良いことに、満点は雲に覆われているのですが、太陽のあるあたりだけ雲がありません。こんなこともあるのですね。海面を走る一筋の光の帯、やがて雲も海も群青色へと変化し、その間にはさまれた空が橙色を濃くしていきます。そして海面に陽が触れると雲も黄金色に輝き、その姿が没し消えるにつれてその色は深みを増し、やがて海一面が妖しく赤く輝きます。すぐにその色は消え、底なし沼のような紫へと変わり、壮大な物語は終わりを告げました。(蘆花の如き描写力がないのはご海容を) 身も心もとろけるように、自然の素晴らしさと奥深さに酔い痴れた至福のひと時でした。"此美しき夕に立ちて、見れど飽かぬ自然の日々新なるを感ず"
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 さあ胃袋もとろけるかどうか、夕食の時間です。仲居さんによって部屋に運ばれてきた海の幸と余目米、特別に注文したこのあたりで特産の岩牡蠣も見参です。いっただきまあす。舌鼓の音は…mfぐらいですね。
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 岩牡蠣の巨躯にはぶったまげましたが。そして食後の一休みして温泉へ、私は"烏の行水"、山ノ神は"海底原人ラゴン"(何だそれは)。部屋に戻ると、もちろんまだ彼女は戻っておりません。この時間を利用して明日の旅程を練り直しましょう。当初の予定では、明日はまる一日、酒田をふらつくつもりでしたが、さっき致道博物館の前にあった喫茶店で見た「松ヶ岡開墾場」がどうしても気になります。地図で確認すると、鶴岡駅からはそう遠くありません。おっ羽黒山が近いではないか。杉並木と五重塔はぜひ見てみたいものです。鶴岡駅で「駅から観タクン」を利用すれば、二時間でおさまりそうな感じがします。机上の空論、砂上の楼閣、画上の豆大福かもしれませんが、"為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり"と鷹山公もおっしゃておられました。明日、とりあえずタクシーの運転手さんに頼んでみましょう。そうこうしているうちに、山ノ神のご帰還。漆黒の海を眺めながら、これまでの無事を祝してビールで乾杯しました。さあ明日はいよいよ最終日、旅して旨いもの食べて酒飲んで寝るというLa dolce vitaも終幕に近づきました。なおテレビでニュースを見ていると、これまで旅してきた置賜で大雨が降っている模様です。庄内が大雨の時は置賜にいて、置賜が大雨の時は庄内にいる。やはり私は晴れ男なのでしょうか。

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2013-01-12 06:17 | 東北 | Comments(0)