2013年 01月 21日 ( 1 )

『破綻国家の内幕』

 『破綻国家の内幕 公共事業、票とカネ、天下り 利権の構造』(東京新聞取材班 角川書店)読了。安倍晋三伍長率いる「日本経済再生本部」が緊急経済対策の骨子を示し、復興対策など「事前防災のための国土強靭化の推進」を打ち出し、大がかりな公共事業を進めると宣言しました。(朝日新聞夕刊 2013.1.8) やれやれ、談合で濡れ手に粟のぼろ儲けをする大企業、便宜を図って企業に天下る官僚、業者から政治献金や裏金を受け取る政治家、そのほとんどが彼らの胃袋の中に消えていくかと思うと暗澹たる気持ちになってきます。こんなことを続けていたら(自民党の皆々様はやめる気は毛頭なさそうですね)、日本は破綻してしまうのでは… 破綻、はたん、はたっ(膝を打った音)、そういえば以前に『破綻国家の内幕』という本を買ったはずだ。さっそく本棚の奥から発掘して読んでみることにしました。
 土地改良事業、林業土木事業、建設業保証会社、公共事業、高速道路などにからむ利権構造を、東京新聞の取材班が粘り強く調べ上げ、告発した力作です。巻頭、この企画の連載を始めた日、部長会で「"破綻国家"とは大げさではないか」という意見が多かったと紹介されています。しかし、社会部長であった山田哲夫氏は、この国の現状は破綻しており、末来も楽観できないと言い切ります。
 …わが国の財政を大雑把に捉えれば、毎年、税収は50兆円しかないところに80兆円を支出する。不足分30兆円を国債で調達し、国債の利払い償還で毎年20兆円が消えて行く。積もりに積もった借金は、国と地方を合わせてGDPの1.2倍の650兆円を超える膨大さで、さらに増え続けている。(p.9)
 2002年当時の数字なのですが、現在でもそう改善されたとは思えません。仮に増税したとしても、年金の充実や拡充、福祉や医療など国民生活維持のために使われるのではなく、天下りの役人のための組織の維持や延命、国会議員と癒着する業者のための無駄、無用の公共事業のために蕩尽される。なるほど、これは正真正銘の「破綻国家」ですね。ものがもの、相手が相手だけに、さぞや困難な取材だったでしょうが、具体的な事例に対して真っ向から立ち向かい事実を白日のもとに晒そうとするその姿勢には頭を垂れましょう。
 正直に言って、そのあまりに複雑で巧妙な利権構造の記述を読んでいると頭がついていけなくなります。まあこうやって、追求しようとする気力を萎えさせるのも彼らの手の内だと考え、読み通しました。公共事業予備費をばらまくとPRしてなりふり構わぬ集票戦略に利用する自民党、森林公団理事長を五年四カ月務めただけで約1億5200万円を受け取った元林野庁長官、天下ってきた官僚の古巣の仕事を独占的に請け負って多額の利益を上げる企業。当然の権利のように業者から裏金を受け取る政治家や首長、無駄な事業に多額の税金を流し続けながら、業界へ次々と天下る官僚や地方の役人、裏金と談合が絶えることのない建設業界…。その間を血液のように流れるのは、われわれから絞り取った税金です。政治家は「票とカネ」、官僚は「天下り」、業界は「利益」を手に入れるための"利権のブラックホール""税金横領システム"を何とかしないと、破綻を食い止めることは…もう手遅れなのかな。いや、絶望は愚か者の結論、まだ間に合うと信じましょう。徹底した情報公開、政治資金制度の改革、予算配分の見直し、業界への天下り禁止、地方への権限と財源の委譲などの対策がありますが、何といってもこの利権構造を変えようという意志を持つ政党が政権を取ることが重要です。しかし今回の衆議院総選挙で第一党になったのは自民党。そう、この"税金横領システム"を築き上げ、何ら反省の弁もなく改革の意志もなく、さらにこの"利権のブラックホール"にわれらの血税をがばがば注ぎ込むと意気込んでいる、安倍伍長率いる自民党です。"盗人に追い銭"とはまさにこのこと、この選挙結果に絶望はしませんが、かなりの衝撃でした。やはり日本はそんなに簡単に良くなる国ではないのですね。銘肝。

 というわけで、安倍伍長をはじめ自民党の皆様方。良かったですね、日本を自民党の私物として取戻すことができて。

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by sabasaba13 | 2013-01-21 06:10 | | Comments(0)