2013年 06月 06日 ( 1 )

スペイン編(2):プラド美術館(11.12)

 モーニング・コールに叩き起こされ起床。だだっぴろい会場で朝食をいただき、一服するために外へ出ると、おおっ、広漠とした平原の上に素晴らしい朝焼けです。スペインに来たのだなという実感がすこしわいてきました。
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 部屋に戻って、荷物をドアの脇に置き、バスへと乗り込みました。ホテル前に置いてあった灰皿で恒例の吸殻チェックをすると、半数以上がフィルター近くまで吸われていました。うむ、あまり経済状態はよろしくないと見た。お暇な方は、スロヴェニアアイルランド台湾ポルトガルと比較してみてください。今夜の宿はコルドバ、よってこのバスに乗りマドリードを見物した後、そのまま移動となります。ポーターが荷物を運んできてトランクに積んでくれていますが、この移動の簡便さが団体旅行の長所ですね。その分、失うものも多いとは思いますが。
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 まずは安野光雅氏が『スペインの土』(朝日新聞社)の中で「マドリードで見るものはプラド美術館が一で、二と三がなくて四が思い浮かばない」(p.20)と言っておられたプラド美術館の見学です。バスからおりて、まずはベラスケスとゴヤの銅像を撮影。そして現地在住の日本人ガイドの方に引きつられ、解説付きの団体行動の開始です。
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 ゴヤの「黒い絵」や「裸のマハ」(※「着衣のマハ」は国立西洋美術館に出張中)、ベラスケスの「ラス・メニーナス」や「マルガリータ王女」、エル・グレコの「羊飼いの礼拝」などの名作の前をひきずりまわされました。余談ですが、JTBのデスクでこの旅行を申し込んでいた時、係の方が「"きごろものまは"は見ることができません」とおっしゃいました。JTBの将来にちょっとした暗雲が漂うのを感じさせる出来事でした。それはともかく、微に入り細に入りもっとじっくり見たいのですが、これはないものねだりですね。そして待ちに待った三十分の自由時間、放たれた矢の如く、まずはゴヤの「マドリード、1808年5月3日」の前へ。前回と同様、息を呑んで凝視してしまいました。壁の前には、さまざまな服装と表情をもったマドリード市民たちの一群(ゲリラも含まれるか?)、彼ら/彼女らに銃口を向ける画一的な軍服を着たフランス軍の兵士たち。今まさに一撃が加えられようとしていますが、背後から描いているため彼らの表情を窺い知ることはできません。表情がない、換言すれば匿名性をもつ一団が市民を殺戮する、軍隊、ひいては官僚制のもつ非人間性と冷酷さ、普通の人間が大きな機構の中にとりこまれ、無抵抗かつ忠実に非人間的な行為に加担してしまう、いわゆるアイヒマン問題をゴヤはみごとに描き出しています。そして絵を鑑賞している人の視点は、ちょうど司令官の位置に置かれているのですね。「さあ、あなたは"撃て"という命令を出すのか、出さないのか」というゴヤの問いかけが聴こえてきます。そしてブリューゲルの「死の勝利」、ボッシュの「快楽の園」を拝見し、ミュージアム・ショップで絵葉書とTシャツを購入して集合場所へと駆けつけました。やれやれとても真っ当な鑑賞とは言えませんでしたが、これも団体旅行の宿命です。

 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2013-06-06 06:19 | 海外 | Comments(0)