2013年 06月 24日 ( 1 )

TA14GP

c0051620_6161721.jpg ちょっとした用件で練馬文化センター(通称ねりぶん)のサイトを見ていたら、今度の金曜日に、渡辺香津美+村治佳織・村治奏一姉弟のギター・トリオの演奏会があることがわかりました。ジャズ・ファンのはしくれとして渡辺香津美氏のギターはぜひ聴いてみたいと常々思っていましたので、渡りに舟。そして共演する村治佳織氏はクラシック・ギタリスト、彼女が弾くロドリーゴのアランフェス協奏曲(山下一史指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団)のCDを持っていますが、凄みはありませんが悪くはない演奏でした。この二人に実弟のクラシック・ギタリスト奏一氏が加わるというのですから、ちょっと楽しみです。とはいうものの、ギター・トリオについては、パコ・デ・ルシア+アル・ディ・メオラ+ジョン・マクラフリンによる『スーパー・ギター・トリオ・ライブ!』という凄絶な演奏を知っております。若い頃、ギターを弾きたいという夢を持っていたのですが、それを粉微塵に粉砕したのが、冒頭に収められたパコとアルのデュオ「地中海の舞踏/広い河」でした。よって凡百の演奏では満足できないと思いますが、とにかく聴きにいってみることにしました。なおこのユニットの名称は「TA14GP(The Acoustic Fourteen Guitar Project)」、生まれた日が三人とも「14日」だという偶然から名付けられたそうです。
 雨がしとしと降る6月21日金曜日、山ノ神とは現地で待ち合わせ。そして三人のギタリストが颯爽とステージに登場しました。第一部は「ギターの故郷・太陽の国へ」、主にスペインの作曲家の手による名曲で構成されています。「スペイン舞曲~はかなき人生より(ファリャ)」、「きつね火~火祭りの踊り(ファリャ)」、「アルハンブラ宮殿の思い出(タレガ)」が演奏されましたが、心地よい生ギターの音色と当意即妙のアンサンブルを堪能。そして次なる曲は趣向が変わり、チック・コリアの「スペイン」。たしか『マイ・スパニッシュ・ハート』に収められていた曲ですね。歯切れのいい伴奏にのって、渡辺氏が天馬の如き即興演奏をくりひろげます。最後はアランフェス協奏曲(ロドリーゴ)、オーケストラ・パートをギター用に編曲して全三楽章を演奏するという力業です。演奏自体は十二分に楽しめたのですが、ちょっと単調になる部分があり、こくっと舟を漕いでしまいました。
 ここで十五分の休憩。第二部は「旅するギター・大洋の彼方へ」、国や時代にとらわれず、素敵なメロディ・曲想の曲で構成されています。「イチジクとザクロ第二楽章(渡辺香津美)」、「ピアノレッスン(マイケル・ナイマン)」、「無伴奏バイオリンパルティ―タ第三楽章より プレリュード(J.S.バッハ)」と続きます。「ハヴァナ(谷川公子)」は、レゲエ調のリラックスした曲調がいいですね、三人の伸びやかな演奏が印象的でした。そして「アルマンドのルンバ(チック・コリア)~コーヒールンバ(J.M.Perreno)」のメドレー、フィナーレは「ネコビタン・エックス(渡辺香津美)」、いずれも渡辺氏の天衣無縫なインプロビゼーションを村地姉弟が堅実に支える、快調な演奏でした。アンコールは渡辺香津美+村治奏一のデュオによる「こだまスケッチ(村治奏一)」、優しさにあふれたメロディが心に残る佳曲でした。村治奏一氏、作曲の方でも期待できそうです。そして渡辺香津美+村治佳織のデュオによる「一億の祈り(谷川公子)」。最後は渡辺氏が奏でる「フーテンの寅さん」に乗って村治佳織氏の挨拶があった後、東京ご当地ソングを連ねた「東京お散歩メドレー」がトリオで演奏されました。「花」「東京音頭」「お祭りマンボ」「川の流れのように」というバラエティに富んだ曲を、三人が楽しそうに奏でて幕となりました。

 というわけで、ギターの魅力を満喫できた、楽しいコンサートでした。やはり渡辺香津美の即興演奏を中心とした演奏が多く、すこし単調になったきらいは否めません。三人が対等の立場で、当意即妙に掛け合い即興演奏をくりひろげるスリリングな演奏を聴きたいものですが、それを要求するのは酷というもの。ギターが大好きな三人が集まって、高い音楽性と優れた技術をともなった素敵な演奏を聴かせてくれたのですから、もう言うことはありません。Muchas gracias !

 素敵な演奏のあとは、もちろん美味しい食事。最近二人で贔屓にしている、近くのトルコ料理にお店に行くことにしました。店の名は…名は…名は… いまだに覚えられません。「アドルフバイセン」、「違う!」、「ドルナジャフセン」、「違う!」、「マルジャハイセン」、「違う!」と二人で言いあいながら到着、正解は「ドルジャマフセン」でした。どうしても覚えられない名前ってありますよね。「ティル・オイレンシュピーゲル」は覚えたし、「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」も最近やっと記憶できました。(山ノ神に質問したところ「パール・バック博士!」) 今度はこの店の名前に挑戦です。それはさておき、スパイシーでジューシーなシシケバブを堪能。ひと月に一度は、演奏会を楽しんで美味しい食事をいただく、こういう人間らしい暮らしをしたいな、と思います。そして必要ないものは買わず持たず、日々の仕事に喜びを見出す。安倍伍長の唱える「金持ちを富ませる経済成長のために、貧乏人を使い捨てる」路線とは真っ向からぶつかる生き方ですけれどね。しかし彼を擁する自民党が支持を集める今日この頃、レミングたちの姿を思い浮かべるのは私だけでしょうか。
by sabasaba13 | 2013-06-24 06:16 | 音楽 | Comments(0)