2018年 01月 01日 ( 1 )

バーニー・フュークス展

 ♪つんつくつくつくつん つんつくつくつくつ ひゃらー♪

 迎春

 ふつつかで粗忽なブログですが、今年もよろしくお願いします。


c0051620_7131656.jpg 先日、山ノ神と「美の巨人たち」を観ていたら、「スプリング・トレーニング・マウンテンズ」という気になる絵に出逢いました。大リーグのキャンプ風景をテーマとした作品ですが、異様に縦長のキャンバスに、練習する選手たちとそれを見つめるスタンドの観客、そして残雪を戴く山が描かれています。主人公であるはずの選手たちは下部に小さく描かれ、それを見守る観客と山が主人公のようです。そして画面全体が柔らかな光の粒で充たされ、これから大好きな野球のシーズンが始まるという観客の期待感と幸福感があふれだしてくるようです。魅力的な絵ですね。日本プロ野球のオープン戦を描いた、村上春樹氏の傑作エッセイ「デイヴ・ヒルトンのシーズン」をふと思い出しました。(『雑文集』所収)
 作者はバーニー・フュークス、スポーツと絵画の融合という新しい地平を切り開いた20世紀のアメリカを代表するイラストレーターだそうです。いやはや、私の知らない素晴らしい画家がまだまだたくさんいそうですね。そうした方々との出逢いを思うと、嬉しくなりました。

 彼の展覧会が代官山ヒルサイドフォーラムで開かれているので、山ノ神と一緒に見に行くことにしました。インターネットで所在地を調べると、東横線代官山駅の近くですが、付近に旧朝倉家住宅があることを発見。東京府議会議長や渋谷区議会議長を歴任した朝倉虎治郎氏によって1919(大正8)年に建てられた数寄屋建築と回遊式庭園を見学することができるそうです。よろしい、こちらも寄ってみましょう。

 まずは旧朝倉家住宅、アップダウンの変化に富んだ野趣あふれる庭は、紅葉が見ごろでした。ちょっとした穴場ですね。
 そして代官山ヒルサイドフォーラムへ。小さい会場でしたが、充実した作品群でした。正確な写実力、光の印象的な描写、大胆な構図などに目を瞠られませす。イタリアの街を描いた絵や、エリザベス女王やJFKのポートレートも魅力的でしたが、やはり野球やゴルフなどのスポーツを描いた作品が心に残ります。プレーヤーが、時には観衆と共に、光あふれる美しい自然の中でスポーツに打ち興じる姿に、生きる喜びをひしひしと感じます。しかも、ゴルファーやスキーヤーはキャンバスの端の方に描かれ、主役となるのはあくまでも自然なのですね。
 またドラマを感じさせる何枚かの絵も素晴らしい。前述の「スプリング・トレーニング・マウンテンズ」の観客席には、カップルや子ども、老人などが描かれていて、それぞれの人生に思いを馳せてしまいます。またボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パーク左中間にある巨大なフェンス、グリーン・モンスターを中心に描いた絵や、フェンスの隙間から選手たちを一心不乱に見つめる少年の絵なども面白いですね。いったいどんなドラマがあるのでしょう。

 アメリカの画家ではベン・シャーンノーマン・ロックウェルが大好きですが、またひとり記憶に留めたい画家と出逢えました。

 なおインターネットで、バーニー・フュークスについて調べていると、わが敬愛するパブロ・カザルスのポートレートを描いていることがわかりました。オスカー・ココシュカが描いた肖像画は知っていますが、あまり好きにはなれません。どんな絵だろう、気になったのでインターネットで一所懸命に探したら、ようやく見つかりました。画面の中央に大きくグランド・ピアノが描かれ、パイプをくわえてそれを弾くカザルスが右端に小さく描かれています。しかも逆光の中で影となっており、表情などの細部はよくわかりません。しかし彼の音楽に対する真摯な思いが伝わる一枚です。彼が日課にしていたという、J・S・バッハの「平均律クラヴィーア曲集」を弾いているところでしょうか。
by sabasaba13 | 2018-01-01 07:13 | 美術 | Comments(0)