2018年 01月 14日 ( 1 )

人はここまで卑劣になれるのか

 と思わず嘆息してしまいました。ちなみに「卑劣」とは、今話題の広辞苑(ただし第二版)の定義によると「品性・行為などのいやしく下劣なこと」です。

 さてその嘆息の理由ですが、『週刊金曜日』今週号(№1167 18.1.12)に掲載された三つの記事にあります。

 まず一つ目は、「名護市長選に向け、菅・二階両氏が沖縄入り 繰り返される自民の"土建選挙"」という、横田一氏による記事です。
 名護市長選(2月4日投開票)で自民党が"詐欺師紛い"の争点隠し選挙と露骨な土建選挙に再び乗り出した。昨年12月29日に菅義偉官房長官、今月4日には二階俊博幹事長が沖縄入りして自公推薦候補の渡具知武豊元市議や支援者らと面談。公共事業推進(予算増加)を強調しながら、最大の争点である辺野古新基地建設については「米海兵隊の県外・国外移転を求める」と基地反対派と同じ政策を掲げる一方、移設工事は粛々と進める二枚舌的な対応をしているためだ。
 沖縄北部の名護市にまで足を運んだ菅氏が訴えた市長選向けの目玉事業が、総事業費が約1000億円の「名護東道路」(8・4キロメートル)。工事現場を視察し、未完成区間(2・6キロメートル)の1年半の完成前倒しとさらなる延伸調査を関係省庁に指示したことを明らかにした。
 露骨で卑劣な土建選挙とはこのことだ。慢性的渋滞に悩まされる市民の弱みに付け込み、「道路整備を早くしてほしければ、自公推薦候補に投票をしろ!」と迫っているようにみえる。(p.4)
 二つ目は、「憲法を求める人びと 5」の中で、辺野古や高江での米軍基地反対運動の中心となって尽力されている山城博治さんについて、佐高信氏が書いた記事です。
 弾圧は警視庁が入ってきてから暴力的になった。沖縄県警とはある種の信頼関係があったのだが、それが断ち切られて山城は152日間も不当拘留される。
 真冬に靴下の差し入れも認められなかった。その理由として留置所は「靴下を口の中に押し込んで自殺する可能性があるから」とバカな説明をした。
 それで弁護士で代議士の照屋(※寛徳)は内閣に質問主意書を出す。靴下の差し入れを制限している憲法違反の留置所、拘置所は全国にどれだけあるのかと問うたのである。答は名護署だけだった。そして、内閣から回答がおりてくるその日の朝から、靴下の差し入れが認められるようになったのである。
 安倍政権の卑劣さ、狡猾さがどれほどのものかわかるだろう。その中心に官房長官の菅義偉がいる。(p.38)
 そして三つめは、沖縄への偏見をあおる放送をゆるさない市民有志呼びかけ人である川名真理氏が書いた記事です。
 大阪の機動隊が基地反対運動に携わる人々を「土人」と呼んだことを『差別と断定できない』と閣議決定するなど政府自体が沖縄差別に加担している。偏見が広まると人々は簡単にウソを信じてしまいます。菅(義偉)官房長官の『迷惑料』の話(注)も印象操作の典型です。基地建設に反対する人々を貶めようとしています。事実に基づかない情報が横行すれば言葉は無力になり、議論が成り立たなくなります。これでは民主主義的な国家など成り立ちません。

(注) 昨年12月6日、菅官房長官が記者会見で、辺野古など3区に支出する直接振興費について「反対運動の違法駐車や交通量の増加で騒音が激しくなったことに対応するのは自然なこと」と、運動の「迷惑料」とも受け取れる発言をしたことを指す。(p.41)
 そう、辺野古新基地建設に反対する人びとに対する、官憲の卑劣な行為の数々です。自治体の財政難につけこみ、金をちらつかせて基地を受け入れさせようとする。(「死ね死ね団のテーマ」に♪金で心を汚してしまえ♪というフレーズがありました) 真冬に靴下をはかせないという下劣な嫌がらせをする。「土人」という差別的な言辞を容認する。反対運動は迷惑行為だという印象操作を行なう。やれやれ、人はここまで卑劣になれるのか。辺野古に新基地をつくるためには、なりふりかまわずにありとあらゆる手を使うという、国家権力の強烈な意志を感じます。その背景には、将来的に新基地を自衛隊が使いたいという思惑もあるのでしょうが、国家権力に抗う者は潰すという考えがより強くあるのだと思います。それにしても、ここまで卑劣な手段を使うとは…恐れ入谷の鬼子母神です。中でも後二者は「いじめ」ではありませんか。教育現場での「いじめ」をなくすために政府は道徳の教科化を進めていますが、新基地反対運動への「いじめ」をしている方々がそう唱えても説得力は皆無です。クレヨンしんちゃん風に言えば、「おめーにいわれたかねーよ」。隗より始めよ。
 ちなみに文部科学省による「いじめ」の定義はこうです。
 当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
 こうした卑劣な行為の責任はもちろん安倍上等兵にありますが、菅義偉官房長官の存在も注目すべきですね。いろいろな報道やルポルタージュを読んでいると、昨今の権力の暴走に、この御仁が大きく関与していることがわかります。例えば『週刊金曜日』(№1166 17.12.22/18.1.5)の対談「"忖度メディア" 再生への処方箋 幹部が安倍首相とメシ食っても、横でつながれ!で、室井佑月氏と古賀茂明氏が、こういう話をされています。
【室井】芸能人やテレビ局の人は今、菅さんとかに"おもてなし"されて、どんどん右に変わっちゃうから、もう寂しくて。仲のいい人がみんな消えていくからさ。
【古賀】それが菅さんの仕事だから。朝昼晩、夜は2回のこともあるらしい。ほとんどはテレビに出てる人と会食してると聞きました。それも、ちょっと政権に批判的だなって思う人と。そこで「先生のような方に是非お力をお貸しいただければ」と言う。これ、実は、「仕事をやるぞ」という意味なんですよね。
【室井】「大学教授」とか、「ワーキンググループメンバー」とか。偉そうな肩書がつくと、芸能人はうれしくてなびいちゃうよね。浮き草稼業だから。『朝日新聞』の曽我豪編集委員たちも相変わらず、安倍首相とご飯に行ってるし。行くな、っつうの。(p.19)
 東京新聞の望月衣塑子記者は、『新聞記者』(角川新書)で、次のように書かれています。
 ベッドでネットを見ていると、翌日に発売される『週刊文春』が、菅官房長官本人に関する疑惑を掲載することがわかった。
「『ばれたら面倒』 菅官房長官が政治資金公開を隠蔽指令」
 詳細は割愛するが、記事が事実なら政治資金規正法違反や国家公務員法の守秘義務違反に問われかねない大問題だ。(p.180)

 …500回以上の官邸会見を見続けてきた南記者によれば、会見で手を挙げているのに、内閣記者会の記者が質問を打ち切るという光景は、いまだかつて見たことがないという。
 なぜ同じ記者が打ち切るのか…
 信じられない思いで取材してみると、おどろくような事実がわかってきた。
 8月下旬、菅長官は幹事社を通じて菅番の担当記者に、会見時間を短縮したいとの趣旨を打診してきたという。番記者は「時間制限はできない」と突っぱね、要求は呑んでいないというが、あと「〇人」「あと〇回」と官邸の広報官が質問を打ち切っているのを認めているのが現状だあ。
 これは、メディアの自殺行為ではないか。
 あまりの出来事に呆然とし、愕然とした気持ちで涙があふれそうになった。日本のメディアの限界なのかと足が震えるほどの衝撃を受けた。
 さらに、事前に質問を渡すことも本格化しているように思える。この手法は以前からあり、官房長官会見に限らないが、最近は菅長官が手元のペーパーを見ながら答えることがほとんどになってきた。これをシャンシャン会見といわずになんというのか。
 以前私は、前川事務次官に対する「教育者としてあるまじき行為…」という非難の言葉までも菅氏が下を向いて発していたので、思わずこう聞いてしまった。
 「事前に準備されたペーパーを読み上げているのですか」
 すると菅氏が怒りをあらわにこういった。
 「あなたにそんなことを答える必要はない」
このごろは最初から手を上げてもぜんぜん指名してもらえない。挙手しているのが私しかいなくなると、やっと当てられるという状況だ。(p.185~7)
 こういう御仁が、官房長官という重責を務めているのが日本の現状です。メディアを懐柔し/屈服させ、国家権力に抗う者に様々な嫌がらせ・いじめをする、あるいは彼らを貶めるための印象操作を行なう、権力にすり寄る者には金をばらまき、権力にとって都合の悪い情報は隠す。ほんとうに卑劣ですね。何度でも言いますが、こんな御仁が官房長官を務めるこんな政府を支持する方々が多いのは何故なのでしょう。

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2018-01-14 09:30 | 鶏肋 | Comments(0)