2018年 03月 06日 ( 1 )

狂熱のギターデュオ

c0051620_8431641.jpg ん? なになに。「狂熱のギターデュオ 渡辺香津美meets沖仁」というコンサートが、三鷹市公会堂で開かれるそうな。以前に村治佳織・村治奏一姉弟とのギター・トリオ演奏会「TA14GP」を聴きにいって、彼の演奏の素晴らしさには舌を巻きました。今回はフラメンコ・ギタリスト沖仁氏とのギターデュオ、これはぜひ聴きにいきたいものです。満席間近でしたが、幸い席を確保でき、山ノ神と一緒に公会堂へ行ってまいりました。

 まずは公会堂のサイトから紹介文を転記します。
 ジャズ・フュージョン界はもとより、イエロー・マジック・オーケストラやジャコ・パストリアスらとの共演でも知られ、ボーダレスに活躍する"ギター・マエストロ"、渡辺香津美。2010年7月、スペインの権威ある「第5回ムルシア"ニーニョ・リカルド"フラメンコギター国際コンクール」国際部門で日本人初の優勝を成し遂げ、いまやジャンルを超えた人気を集める沖仁。このたび、それぞれ2010年10月以来3度目、2009年9月以来2度目となる三鷹への登場が、デュオ・ライヴという形で決定しました。
 二人は2011年に初めて共演して以来、お互いの演奏に心酔し、いまなお各地でデュオのライヴを展開しています。その白熱のライヴの模様は、2015年夏にリリースした『エン・ビーボ! ~狂熱のライブ~』からもうかがい知れます。このアルバムは4か所7公演からのベスト・テイクが収録されており、全国のギター好きを唸らせました。
 超人的なギターテクニックと豊かな音楽性から生まれる色彩豊かで芳醇な音色、魅惑のアドリブ、ゾクゾクするインプロヴィゼーション。スリリングな展開が刺激的なセッション・ライヴになることでしょう。
 ジャズ・ギタリストの渡辺香津美と、フラメンコ・ギタリストの沖仁。世界的な名プレーヤー二人が、三鷹市公会堂を舞台に繰り広げる熱い超絶ギターライヴに、どうぞご期待ください!
 ホールに入ると、ステージの上にはさまざまな種類のギターが置かれています。もうこれだけでワクワクしてきますね。どんな音が奏でられるのだろう。熱心なファンの方々が写真におさめていました。
 そして二人が登場しました。ジャズ、フュージョン、フラメンコといったジャンルを軽々と飛び越えて、奏でられるギターのサウンドに酔いしれるのみ。眼を交わし耳をとぎすませながら、二人で音楽を育て上げていく様子がよくわかります。「地中海の舞踏/広い河」「リベルタンゴ」「スカボロー・フェア」「アントニア」といったなじみ深い名曲をおりまぜた選曲もいいですね。アンコールは、チック・コリアの名曲「スペイン」、最後には二人で客席におりてきて圧倒的なギター・バトル、ホールを熱狂の渦に巻きこんでくれました。
 ああ楽しかった。なお途中で調子が悪かったのかPAがしばらく沈黙し、彼らの生の音を聴くことができました。やはり生の音はいいなあ。できうれば小さな会場でPAなしに、二人のデュオを聴きたいのですが、♪見果てぬ夢♪でしょうね。

 素敵な演奏のあとは、もちろん美味しい食事。西荻窪駅前にある老舗「こけし屋」で美味しいフランス料理に舌鼓を打ちました。スポーン なお公式サイトによると、この店の興味深い歴史を知ることができます。小生の文責でまとめますと、ここは戦前「大石洋品店」という洋品屋でしたが、運よく戦災を免れ焼け残ったこの敷地を、洋品屋の息子の大石總一郎と従兄の安田善一が甘味屋としてたてなおし、たくさんの人々がこぞって集まるようになりました。戦後、世の中がまだ落ち着かない中、せめて文化的なことを吸収したいとの思いから、毎週土曜日の夜に「こけし会」という、西荻界隈の文化人を講師に招き、近所の店主や学生、主婦などを対象にした文化講座を開いたそうです。屋号の名づけの親は安田で、店内にひっそりと飾られていたこけしを見た彼は、「国破れても日本の国の伝統は残っている。この店の名はこけし屋でどうだ」と言ったことから名付けられたとのことです。この店に集まった中央線沿線に住む文士や画家、石黒敬七、井伏鱒二、丹羽文雄、徳川夢声、東郷青児、田川水泡らがつくったのが「カルヴァドス会」。戦後公開された映画「凱旋門」(1948)のなかで、イングリッド・バーグマンがパリのビストロで飲んでいたりんごのブランデーから命名されました。この会のメンバーであった画家の鈴木信太郎が描いた可愛い西洋人形のような女性が、今でも包装紙として使われています。「店に歴史あり」ですね。こういう地域に根付いた老舗を贔屓にしていきたいものですね。

 後日談です。このコンサートの後、しばらくギター音楽にはまって、いろいろな名演のCDを聴きました。パコ・デ・ルシア+アル・ディ・メオラ+ジョン・マクラフリンによる『スーパー・ギター・トリオ・ライブ!』、ジャンゴ・ラインハルト、ウェス・モンゴメリー、アンドレス・セゴビアなどなど。痛切に感じたのは、こうした手練れのギタリストの奏でる音が、フレーズに流されずに一粒一粒際立っていることです。そういう意味でこの二人はまだ発展途上かな、精進を期待します。
by sabasaba13 | 2018-03-06 08:03 | 音楽 | Comments(0)