2019年 07月 12日 ( 1 )

姫路・大阪・京都編(17):帰郷(15.12)

 地下鉄の車内に「京の水道水 世界最高水準 うるおいのしずく、あなたへ。 京都市上下水道局」というステッカーが貼ってありました。いつまでも「水と安全はタダ」の国であって欲しいと思います。しかし、そうも言っていられない状況となってしまいました。そう、2018年12月6日、水道法が改正されました。人口減少などで水の使用量は減り、一方で古い施設の更新や耐震化などへの対応など、経営環境が悪化していることへの対応です。今回の改正では、自治体が施設の所有権を持ったまま、運営権を民間企業に売却する「コンセッション方式」と呼ばれる手法を採用することになりました。さあこれから一体何が起こるのか? 最近読んだ『日本が売られる』(幻冬舎新書)の中で、堤未果氏が"水道ビジネス"に言及されています。
 世界中のどこでやっても、じゃぶじゃぶ儲かる水道ビジネスは、「開発経済学」の概念を全く新しいものに上書きしてゆく。
 開発とはもはや、「そこに住む人々の生活向上と地域発展のため」ではなく、「貴重な資源に市場価値をつけ、それをいかに効率よく使うか」という投資家優先の考え方になって行った。
 世界銀行やアジア開発銀行(ADB)、アフリカ開発銀行などの多国間開発銀行とIMFは、財政危機の途上国を「救済する」融資の条件に、必ず水道、電気、ガスなどの公共インフラ民営化を要求する。
 断ればIMFはその国を容赦なくブラックリストに載せるため、途上国側に選択肢はない。
 国際金貸しカルテルの親玉であるIMFのブラックリストに載せられたら最後、援助国の政府や金融機関は、もうその国に援助をしなくなるからだ。
 この手法により、水の民営化は南米やアフリカ、アジアの国々に広がっていった。前述したボリビアや、90年代の韓国、最近では金融危機でIMFに支援を要請したギリシャも同様だ。
 多国間開発銀行は財源不足の水道を抱える国に対し、まず公共水道事業の一部を民間企業に委託させ、それから水道の所有権や運営権を企業に売却できるよう法改正させる。
 その際、国民が疑問を持たないよう「民営化こそが解決策だ」という全国キャンペーンを展開させることも忘れない。
 彼らは水道だけでなく、「医療」「農業」「教育」の民営化を世界各地に広げるべく、尽力し続けている。
 世界銀行の評価セクションには、この手法を使われた多くの国が、水の水質や安定供給に対し大きな不満を表明しているというデータが届いていた。だがそうした当事者たちの声が問題になることはなかった。同行の「民間開発戦略」はあくまでも「投資家のための環境改善策」(民営化、競争、規制緩和、(企業の)所有権強化)であり、そちらの方がはるかに優先順位が上なのだ。(p.18~9)
 氏曰く、「自国民の生活の基盤を解体し、外国に売り払う」動きです。こういうことをする輩は普通「売国奴」と呼びますが、どういうわけか国民から支持されているのですね。なぜなのだろう? そして話は水だけではありません。いま、土、種、食、牛乳、農地、森、海、築地、学校、医療、老後、個人情報などが企業に次々と売られようとしています。このままだとこの国は、さまざまな災厄が降りかかり、秩序が崩壊し、非常に粗野な、毎日を生きていくための場所に変貌してしまうのではないでしょうか。その時に、なぜそのような貧困化が起きたのか、だれの責任なのかという過酷な事実に向き合わず、違う対象に怒りと憎悪を向けて、より悲惨な結果を招いてしまう。そう、第一次世界大戦後のドイツ人が経験したことですね。持参した『ナチスの戦争 1918-1949 民族と人種の戦い』(リチャード・ベッセル 中公新書)に、奇しくも下記のような叙述がありました。
 第一次世界大戦によって、ドイツは上品とは言い難い、非常に粗野な、「毎日を生きていくため」の場所になってしまった。当然のことながら、さまざまな面で幅広い憤懣が生じる。秩序の崩壊を目の当たりにしたドイツ人は、降りかかった災厄を誰のせいにすべきか、矛先を探した。祖国がなぜ戦争に突入し、戦い、貧困化したかという過酷な事実に向き合うのではなく、ふたつの対象に怒りの目を向けたのである。国外では、屈服したドイツにヴェルサイユ条約という容認しえない「絶対的命令」を押しつけた連合国に、そして国内では、ドイツを背後からひと突きにしたとされる人々に。(p.16~7)
 歴史から学びましょう。歴史は何をしたらよいかは教えてくれませんが、何をすべきでないかは教えてくれます。手遅れにならないうちに。

 京都駅ビルの11階にある京料理「田ごと」で、鯖寿司とうどんのセットをいただきました。そして「蓬莱551」の長い長い行列に並んで豚まんを購入。京都駅20:02発の「のぞみ416号」に乗って豚まんを頬張りながら帰郷の途につきました。
c0051620_22114028.jpg

 本日の一枚です。
c0051620_2212253.jpg

by sabasaba13 | 2019-07-12 06:21 | 京都 | Comments(0)