2019年 08月 30日 ( 1 )

『ロケットマン』

c0051620_721959.jpg 『ボヘミアン・ラプソディ』の余韻が残っているなか、エルトン・ジョンを描いた映画『ロケットマン』が上映されるというニュースを山ノ神が教えてくれました。エルトン・ジョン! 懐かしいなんてものではありません。私の若き日々を彩ってくれた大切なミュージシャンの一人です。「僕の歌は君の歌」「クロコダイル・ロック」「ダニエル」「土曜の夜は僕の生きがい」…こうして彼の曲を列記していくだけで甘酸っぱいものがこみ上げてきました。確か高校一年生の時に『グッドバイ・イエロー・ブリック・ロード』というアルバムが発売されて、胸をときめかせながら秋葉原の石丸電気までLPレコードを買いに行った思い出もあります。余談ですが、和田誠が描いた音楽家の似顔絵が印刷されていた石丸電気の黄色いレコード袋は逸品でした。当時の貧乏高校生にとって、あの袋を持っていることはステイタスでしたね。
 閑話休題。それにしても、あのど派手なロックン・ローラーに、映画のモチーフとなるような出来事があるのでしょうか。百聞は一見に如かず、山ノ神を誘ってユナイテッドシネマとしまえんで見てきました。まずは公式サイトから、あらすじを転記します。
 イギリス郊外ピナー。家に寄りつかない厳格な父親と、子供に無関心な母親。けんかの絶えない不仲な両親の間で、孤独を感じて育った少年レジナルド・ドワイト。唯一神に祝福されていたのは彼の才能―天才的な音楽センスを見出され、国立音楽院に入学する。その後、寂しさを紛らわすようにロックに傾倒する少年は、ミュージシャンになることを夢見て、古くさい自分の名前を捨てることを決意する。新たな彼の名前は「エルトン・ジョン」だった。
 レコード会社の公募広告を見て応募したエルトン(タロン・エガートン)。同じく応募者のバーニー・トーピン(ジェイミー・ベル)の美しい詩の世界に惚れ込み、インスピレーションを受けたエルトンがメロディを生み出す形で一緒に曲作りが始まる。そして、何気ない朝の食卓で生まれた一曲―彼の代表作として世界的に知られるスタンダード・ナンバー「ユア・ソング」―が目にとまり、デビューが決まる。LAの伝説的なライブハウス《トルバドール》でのパフォーマンスをきっかけにエルトンは一気にスターダムへ駆け上がっていく。
 エルトンは、楽曲の完成度の高さと、観客を圧倒するパフォーマンス力で全世界にその名を轟かせていくも、心は満たされない少年時代のままだった。彼を長年にわたってサポートしたマネージャーのジョン・リード(リチャード・マッデン)とは、恋人でもあったが泥沼でもがくような関係を続け、いつも本当に必要とする相手から愛を得られないエルトンの心を深く傷つけた。売れ続けるプレッシャーとの戦いの中で、依存や過剰摂取に陥り、心身共に追い詰められる。
 成功と快楽に溺れ、堕落した生活を送るエルトンを前に、バーニーさえも彼の人生から遠ざかっていく。絶望の淵に立たされたエルトンは、ライブ開始を待つ超満員のステージ裏で、ある選択をする。それは思いも寄らない形で、彼の人生を大きく変えていくことになるのだった。そして、今、感動のフィナーレの幕が開くのだった。
 何といっても、映画全編にちりばめられた珠玉の名曲に魅了されました。驚いたのは、吹き替えではなく主演のタロン・エガートンが実際に歌っているのですね、見事な歌唱力です。そして度肝を抜くような派手な衣装と眼鏡を身につけての演奏やパフォーマンスも、まるで本人と見紛うごとし。またミュージカル仕立てにして俳優が交替で歌ったり、エルトンがロケットになって空へ飛び、聴衆が宙に浮くなどの特撮を駆使したり、外連味溢れる演出も楽しめました。
 そして光が強ければ、影もより暗くなる。この陽気で元気なパフォーマンスの影には、かれの苦難に満ちた人生がありました。両親からの愛情を十分に与えられなかった少年時代。ホモセクシュアルという性向。心の傷を癒すためにアルコールに浸り、薬物や買い物に依存するようになります。やがて友人もマネージャーも去り、妻とも離えん婚してしまいます。どん底のなか、大きなコンサートの直前に彼が選んだ行動が…

 というわけでたいへん面白い音楽映画でした。さきほど、ごそごそとCDラックからエルトン・ジョンのCDを引っ張りだしていま聴いているところです。この映画を見た後で、彼が歌うバラードを聞くと、身を裂くような切なさがこめられているような気がしてきました。お薦めの一本です。
by sabasaba13 | 2019-08-30 07:02 | 映画 | Comments(0)