2019年 10月 26日 ( 1 )

福井・富山編(42):丸岡城(16.3)

 まずは外観をしげしげと眺めて写真を撮りました。石の瓦と大きな鯱が印象的な、武骨で剛毅なお城です。さっそく入城料を支払って、中に入りましょう。入口までは急な石段で、この時点で城のやる気が伝わってきました。外観は二階建てに見えますが、内部は三階建です。内部は、飾り気のない板張りの広間となっており、「石落とし」や「狭間(さま)」が随所に見られました。驚いたのは、階段がほぼ直角に近い急勾配なことです。階段とよりは梯子ですね。設置されていたロープにつかまってやっと上ることができました。これでは攻め入った敵兵もさぞや苦労することでしょう。「かかってこい」というオーラをびしびし発していました。
c0051620_18342875.jpg

 最上階からは曇天のもと丸岡の街並みが一望できました。石瓦もよく見えましたが、これは福井県産の緑色凝灰岩である笏谷石(しゃくだにいし)を石工が加工したもので、天守にかかる重さは100トン以上になるそうです。
c0051620_18344271.jpg

 なお、この後で訪れた中野重治文庫でいただいたパンフレットに、丸岡出身の中野重治がこの城のことを綴った随筆「私の故郷・実用品の美」が掲載されていたので紹介します。
 この丸岡には柴田勝豊か誰かの築いた城がある。この城は朴訥でいい恰好をしていた。つまり工藝品、美術品としてでなくて、戦のために造られた城だということが素人眼にもわかる類のものだつた。私としていえば、子供のとき毎日のようにこの城を見ていたことが、美ということについてのある種の基礎を私にやしなってくれたかもしれぬと思う。
 この城そのものがつまり実用品なのだつたが、私の育つたのは農村でだつたから、そこにはまず実用品だけがあつた。実用品しかなかつたといつてもいい。それが私に実用品の美ということを教えた。またそんなものを作ることの楽しさ、美しさを教えた。臼とか杵とかいつたもの、鎌の刃の湾曲度といつたもの、釣瓶、自在、梯子、藁屋根の破風といつたものにたいする、その美とそれを作ることのすばらしさとにたいする讃嘆の念のようなものを子供に養つたと思う。昭和47年(1967)3月号『エキスプレス』より抜すい

 本日の一枚です。
c0051620_18351925.jpg

by sabasaba13 | 2019-10-26 07:59 | 中部 | Comments(0)