2019年 12月 04日 ( 1 )

福井・富山編(71):井波(16.3)

 閑乗寺公園から十分ほどで、木彫の町・井波に到着です。『一度は訪ねておきたい日本の町100選 小さな町小さな旅 東海・北陸』(山と渓谷社)から転記します。
 JR高岡駅から、果てしなく広がる砺波平野をバスで南下する。車窓に延々と映るのは屋敷林に囲まれた家が無数に点在する散居村の風景。見慣れぬ者にとってはじつに不思議な光景である。
 約1時間で井波に着く。ここは瑞泉寺の門前町として発展した町だ。
 瑞泉寺は室町時代前期に本願寺5代法王綽如(しゃくにょ)上人によって開かれた。越中一向宗王国の中心として370寺を支配し、「越中の府」といわれた名刹である。さすがにその構えは壮大だ。城壁のような石垣に囲まれ、山門は総ケヤキの重層伽藍造り。本堂と太子堂、鐘楼堂が広い境内に配置され、威風堂々としている。そして、何よりも圧巻なのは建造物に施されたおびただしい彫刻。特筆すべきは山門で、1階の屋根の上には模様の違う48枚の波板がはりめぐらされている。入口の頭上には今にも動き出しそうな精緻な「一疋龍」や仙人像があり、勅使門には親の深い愛情を表現した「獅子の子落し」が彫られている。
 瑞泉寺の門前、八日町通りは約200メートルも軒が連なる石畳の道だ。格子戸の町屋や袖壁をもつ家など古い町並みはしっとりとした趣がある。歩いていると窓辺には60本ほどのノミを並べている家があったり、また、4、5人の若者が獅子頭や欄間を黙々と彫っている工房がある。どこからともなく「トーン、トーン」と槌音も響き、別の家からの音も重なり、井波が欄間で名高い井波彫刻のふるさとであることを実感する。
 現在150軒もの木彫り師の家があり、全国から修業にきた若者も含めて約300人が伝統の匠の技を受け継いでいる。
 八日通りの数々の工房は透かしガラス越しに作業を見ることができ、見学が気軽にできる工房も多い。この"開かれた技の町"の光景は、はるばるやって来るだけの価値がある。通り沿いの家の表札はどこも木彫り。商店街の看板も、バスの停留場も、公衆電話も…。彫刻が湧き出てくるかと思うほど木彫りに囲まれ、一つずつ見ていると町歩きがわくわくするほど楽しくなってくる。
 そもそも井波彫刻の始まりも瑞泉寺である。宝暦12年(1762)の大火で瑞泉寺が焼失し、再建に際し京都の宮大工が棟梁として招かれ、24年の歳月をかけて完成した。その時京都から来たのが京都本願寺の御用彫刻師、前川三四郎らの彫り師であった。彼らは地元の宮大工とともに瑞泉寺の彫刻を手がけ、その技術が今に伝わっている。(p.120~1)
 タクシーに料金を払い、公衆トイレに駆け込み用を足していると、どこからともなく清新な香りが漂ってきます。その正体はネットに詰められた木屑、さすがは井波です。
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 近くにあった木彫をほどこしたモニュメントも見事のひと言。
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by sabasaba13 | 2019-12-04 06:30 | 中部 | Comments(0)