カテゴリ:鶏肋( 164 )

残暑見舞


 残暑お見舞い申し上げます。

 日頃「散歩の変人」を御愛読していただき、ありがとうございます。本日から二週間ほど重量が800gほどある本を(「<日本人>の境界」小熊英二)もって久米島・石垣島・渡嘉敷島に行ってまいりますので、しばらく新作のアップができません。「散歩の変人」沖縄編を書けないような、落ち着いたはんなりした旅にしたいと思っております。炎熱地を焼く日々がまだ続くかと思いますが、ご自愛を。

 暑気払いに、手持ちの写真の中でもっとも涼しそうな一枚をどうぞ。インスブルック近郊のアクサマー・リーツムというスキー場です。
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by sabasaba13 | 2005-08-15 08:03 | 鶏肋 | Comments(0)

ロンドン戦争博物館

 遊就館に行った後で、ロンドンの戦争博物館のことを思い出しました。ヨーロッパの都市へ行くと、戦争博物館がよくあることに気づき時間が許す限り見学することにしています。ウィーンの軍事史博物館ではサラエボで暗殺されたフェルディナン皇太子の血塗れの軍服に息を呑み、ストックホルムの武器博物館では剥製の軍馬が機械仕掛けで突然バケツを蹴って心臓が一時止まったり、いろいろと思い出があります。やはりヨーロッパの絶対王政国家・国民国家は戦争と二人三脚で歩んできた歴史があるのだなあと思います。ただ遊就館のように自国の戦争を無条件で賛美するという姿勢はないようです。(もちろん言語が十分に理解できないので雰囲気を感じただけですが) 中でも忘れられないのが、ロンドンの戦争博物館です。機関銃、戦車、毒ガス用マスクなど第一次大戦で使用された新兵器の数々にも興味を惹かれましたが、「Trench experience (塹壕体験)」という展示に圧倒されました。第一次世界大戦は、機関銃が使用されたことにより白兵戦が不可能となり、塹壕を掘って対峙しあう戦いが中心となりました。(塹壕の中で着るためにつくられたのがトレンチコート) その塹壕をまるごと本物そっくりに復元し実際にその様子を体験させてくれるのが、この展示です。塹壕の各所に戦う兵士、傷ついた兵士、倒れた兵士などのリアルな人形が配置され、その隙間をぬって塹壕の中を見学者は歩いていきます。すごいのは、リアルな戦争を五感すべてで体験してもらおうという努力・工夫です。触るとざらざらする塹壕の質感、爆弾の破裂する轟音、不愉快でじめじめした湿度と温度、そしてえもいわれぬ何と表現していいかわからない匂い! 身も心も圧倒されました。お化け屋敷なぞ屁とも思わぬ気丈な山ノ神が、途中で「もういやっ」とうずくまってしまったほどです。今までは頭でしか分かっていなかったことを、私は全身・全神経で理解しました。戦争とは汚いものだ。
 あらためてこうした展示を考えた方々、その実現に尽力したスタッフに、心の底から感謝したいと思います。学芸員が子供たちに展示の解説をしている光景もよく見かけました。賛美するのではなく、目を背けるのでもなく、戦争というものをできるだけ客観的にかつリアルに、次の世代に伝えていこうという姿勢を強く感じました。ぜひ日本でもこうした博物館をつくってほしい。特に「沖縄戦体験」という展示は早急に次の世代に体験して欲しいですね。「軍隊はまず自分たちを、次に給料を払ってくれる政府を守る」という冷厳なる事実をぜひ伝えるべきです。なお、保護者の財政的負担の軽減を理由に、修学旅行費用の上限を厳しく抑える自治体・教育委員会が増えていると聞きました。そのため沖縄への修学旅行が激減しているそうです。これは戦争の真実を子供たちに知らせたいための措置ではないかと、勘ぐってしまいます。
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by sabasaba13 | 2005-06-27 06:15 | 鶏肋 | Comments(0)

能狂言

 先日ひさびさに能狂言を見てまいりました。渋谷区松涛にある観世能楽堂での興業というのも楽しみ、ここは初めてなので。渋谷駅からブンカムラの方へテクテク歩いて十数分、喧騒が突然消えるとそこは松濤。坂の正面に大きな松の木と、しだれ桜と、咲き誇る梅の古木二本。いいロケーションですね。建物は無個性なコンクリート、いけませんね。一工夫がほしい。梅の香の中を抜けて、堂内に入り脇の前から二列目の席に座りました。こんな至近距離も初体験です、橋掛かりが見えづらいけれど。演目は、狂言「水汲」、仕舞(略式の舞)五曲と、新作能「青丹吉」。俳句誌「ホトトギス」主幹I氏の解説です。まだ続いていたのですね、しかし分かりづらく聞き取りにくく手前味噌ばかりの解説を一時間聞かされたのには、辟易しました。「ホトトギス」も1400号までもたないかな、とちょと不安。そして狂言の始まり始まり、野村万作と野村萬斎の登場です。…何て書いているといかにも「通」みたいに見えますが、とんでもない。能狂言を夢現に見ながら/聞きながらウトウト居眠りをするのが大好きという、ど素人ファンです。でもこれが本当に気持ち良くてやめられない。今回は解説の時間にたっぷり寝たので、ちゃんと起きていました。収穫は二つ。野村万作・萬斎の足捌きを眼前で見られたのですが、凄いですね、感服しました。足は口ほどにモノを言う。もう一つは、大鼓の亀井広忠氏の音。カーンという音が、千変万化のニュアンスとともにこちらの感性を揺さぶります。声もいいし、ファンになってしまった。
 心配なのが、観客に若者が少ないこと。私1960年生まれなのですが、ほとんどの方が年上に見えました。もちろん関係者の方も努力をしていると思いますが、このまま消えてしまうのにはあまりにも惜しい芸能です。あの天国のような睡眠を体験できるだけでも十分存在価値はあるのに。微力ながら助力はするつもりです。なお能狂言を題材にしたマンガ「花よりも花の如く」(成田美名子 白泉社)は面白いですよ、手ごたえ・歯ごたえ十分。このマンガを読んで能楽堂に来る若い人が増えるといいな。なお(株)セクターエイティエイトが作っているホームページに初心者のための能講座があるので、ご参考までに。
●能狂言のホームページ
  http://www.iijnet.or.jp/NOH-KYOGEN/visitor/visitor.html

by sabasaba13 | 2005-03-27 06:28 | 鶏肋 | Comments(0)

眠る猫

 最近とんとテレビとご無沙汰している小生が唯一見逃さない番組が、テレビ東京土曜日午後十時「美の巨人たち」です。この前放映された長谷川りん二郎の「猫」という絵にいたく感銘を受けました。番組のHPで見ることができますが、大地と一体になったかのように眠るその姿は惚れ惚れとします。息づかいまで聞こえてきそう。犬とちがい、人間を見下すようなところがいいですね、猫は。特に眠っている猫が大好きで、これまで熊谷守一が描いた「眠り猫」がベストの絵だと思っていましたが、甲乙つけがたい。無性に宮城県立美術館に行きたくなりました。そうそう、彼も「猫は飼いましたが、犬はあまり人間に忠実なので、見るのがつらくて飼ったことはありません」と言っています。(「熊谷守一画文集 ひとりたのしむ」求龍堂) 以前、野良猫を飼い慣らし、「ランバレネ」と勝手に名づけて遊んでもらったこともありましたが、もう彼女もいません。噂では明治神宮の森の中に猫の墓場があり、死期が近づいた猫は人知れず姿を消しそこで永眠するとか… 石垣島で撮影した眠り猫の写真をのせておきます。山ノ神はこれを壁紙に使い、時々カーソルで鼻の頭をくすぐっています。
 なお次回の「美の巨人たち」は、山陽編(1)で紹介しました香月泰男を取り上げてくれるそうです。これは見なくては。

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by sabasaba13 | 2005-02-28 06:30 | 鶏肋 | Comments(0)